プルデンシャルが名乗り、大和生命買収の深謀

プルデンシャルが名乗り、大和生命買収の深謀

業界14位のジブラルタ生命が、2008年10月に経営破綻した大和生命と再建スポンサー契約を締結した。しかし業界関係者は「狙いがわからない」とそろって首をひねる。

大和の債務超過額は643億円。その解消に向けて大和の契約者の保険金を減額し、生保業界で組織する生命保険契約者保護機構に資金援助を求めるが、すべてを賄い切れない。このため数十億円とみられる買収金額は安いものではない。14万人分の保険契約を保全していくコストも重荷だ。

ジブラルタ生命は、米保険大手プルデンシャル・ファイナンシャル・グループ傘下の保険会社。教職員組合や商工会などに強みを持ち、家庭向け中心の大和とは地盤が異なる。ジブラルタの契約者数300万人超に対して大和の契約者数は14万人程度。営業拠点もほぼ一致しており、規模拡大のメリットは薄い。それでも日本のプルデンシャル幹部は「(他社がシュリンクしている)今こそ攻めるチャンス」と強気姿勢を崩さない。

持ち株会社化の狙い

米プルデンシャルは4月に日本で保険持ち株会社を設立する。これまでプルデンシャルは米国本社の海外部門傘下で、ジブラルタは本社直轄だったため資本関係は見えにくかった。持ち株会社化で日本事業の指揮系統を一本化するのが狙いといわれるが、別の思惑も見え隠れする。

現行の保険業法では、保険金の支払いに備える責任準備金を法人向けと個人向けや、地域ごとに会社を分割することは認められていない。しかしこれが可能になれば経営効率が高まり、業界再編も進めやすくなる。金融庁も法整備は視野に入れている。金融審議会では現在、保険会社の事業分割について継続審議を行っている最中だ。仮に事業分割が可能になれば、持ち株会社ほど効果を享受しやすくなる。

ただし新設する会社には新たな保険免許が必要となる。だが最近は、免許申請から認可までの期間は長くなっている。たとえばソニー生命と欧州保険大手の蘭エイゴンは、07年中に合弁新会社を設立する予定だったが、いまだ認可が下りていない。時間を買うつもりで免許を持っている保険会社を買収すれば、こうした問題は回避できる。

プルデンシャルは、保険大手AIGが売却を目指すAIGエジソン生命、AIGスター生命の2社買収でも最終入札に残っている。買収シナジーを疑問視する声も業界内から聞こえるが、持ち株会社の傘下にすれば、免許が増えて多面的な運用が可能になる。積極的な同業買収は、市場規模が縮小する中での成長戦略となるか。

(筑紫祐二 撮影:今井康一 =週刊東洋経済)

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