日本企業が強いリーダーを育てられない理由 納得する人選と育成プロセスを確立せよ

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リーダー同士のチームをつくる

リーダーの育成と言っても、リーダー個々人を強くするだけではなく、リーダー同士のチームを強くするアプローチもしなければなりません。

タフなアサインメントは、失敗への恐怖との戦いでもあります。この恐怖心に打ち勝つために、最も重要なことは何でしょうか? 私は、個人を強くするのはチームだと思います。人間は生来弱いものです。だからこそチームになって、失敗への恐怖心に打ち勝つしかないと思います。お互いを信頼し、切磋琢磨し、しがらみのないチームがあると、それが自分の判断や行動の拠り所や根拠となり自分自身が強くなります。また職場のリーダーがワンチームになっていることほど、メンバーを安心させるものはありません。

リーダー同士のチーム力は、次のような6点に集約できそうです。

①「一体感」(相互尊重/価値観共有/情報共有)
②「多様性」(個々の専門性/多様な見解/批判精神)
③「安定感」(信頼感/私心のなさ/全体最適)
④「革新性」(変化の先導/チャレンジの推奨/学び続ける姿勢)
⑤「発信力」(ビジョンの浸透/情報力/表現力)
⑥「推進力」(迅速な意思決定/資源配分/巻き込み)

自分の会社の組織に当てはめて、チームとしての力を点検してみるとどうでしょうか。

女性リーダーの輩出も重要

女性リーダーの輩出には、丁寧なフォローが鍵

女性リーダーの輩出に勢いをつけることも重要な取り組みです。私自身「優秀な若手はたいてい女性だ」という言葉を、特に営業職系や企画スタッフ職系で何度も聞きました。ただ、女性のリーダー職の輩出を急ぎすぎるのも、組織も本人も苦しめます。女性をリーダーや管理職にするという発想だけでなく、専門性の高い業務の準リーダー職位や、プロジェクトマネージャーなどのアサインで、もっと活躍の場を与え、処遇することで、輝きを放つ女性はとても多いはずです。

そして女性リーダーを生み出す動力ポンプは、「超ハードな研修」にあります。私はこれの効果が高いと感じています。ある金融機関では、現場の第一線の女性社員からリーダーになる過程で、16日間もの長期にわたるコースで、男性社員以上に厳しい研修を課して、上位層に提案したり、組織の壁を越えて問題解決できたりする力を徹底的に鍛えています。

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