あなたが「上司を尊敬できない」と感じるワケ 日本企業はリーダー欠乏症を解消できるか
上司への愚痴は、昔も今も飲み屋で定番の話題です。しかし、その内容は昔と今では明らかに変わってきています。
昔は上司への不満といえば、権力を盾にして、部下を部品のように扱って育てようとしてくれないことや、上ばかりみて仕事をしているヒラメ課長に対する憤りなどが多く聞かれました。今、よく聞くのは「あの人はいい人だし、よく面倒もみてくれる。でも夢がないし、仕事への情熱を感じない。大事なことも決められない」という趣旨の内容です。
つまり昔は、「良い上司かどうか」が部下から見た上司の価値判断基準になっていましたが、今は「自分がついていく価値を感じさせてくれる人かどうか」が上司にとって問われているといえるのです。
この事象は、「マネジャー」と「リーダー」の違いで説明することができます。マネジャーとは「組織上」の「役割」を指しています。ある計画を組織の資源を最適に管理して、達成する役割をもっている上位者です。
「リーダー」は経験と実績で作られる
それに対してリーダーとは、その「人」の「あり方」を指しています。その言葉のとおり「リードする人」であり、どこにリードするのかという「目的地」を示し、そこに皆を連れていくだけの実力を持った人です。リーダーが決める目的地は、その人がもつ情熱や好奇心から生まれますし、皆を連れていく実力とは経験と実績から作られます。決してリーダーは、役割でできるものではないのです。
この違いが正しく理解されていないことが非常に多いように思います。たとえば、企業の人材育成では「リーダーシップ研修」は定番ですが、そもそもリーダーではない人、つまりやり遂げたいことがない人に「リーダーシップ」を学ばせてしまうと、逆にちょっとやっかいなことにすらなります。
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