──今回初めて、日本語教師を対象にした賞も創設したのですね。
はい。北京での表彰式では日本大使の手から表彰状をお渡しして、体験談を語ってもらいました。われわれが差し上げられるのはそうした名誉だけで、到底力不足です。国や政府にもっと日本語教師を応援してほしいと思っています。
ここで強調させていただきたいのが日本人先生の持つ力です。今中国全土で日本人教師の数は2500人くらいですが、日中関係の冷たい空気の中、薄給で言葉もままならないまま、日本をよく知らない若者たちに日本語と日本文化を教えてくれている。発音練習を兼ねた朗読用にと、毎朝日本から家族に新聞のコラムをファクスしてもらったり、それは献身的です。まさに日本国を代表する民間大使です。そうした先生方にもっとライトを当ててほしい。
2011年に最優秀賞を取った青年の作文は、東日本大震災直後、ネット掲示板で日本に声援を送った彼をののしる友人に対し、理性を持って説得し、最後は共に支援するまでを描いた話でした。このときも日本人の先生の影響が大きかった。
政府の資金で日中交流を応援するサイトも
──日本へ行ったら「近所のおばあちゃんたちとも仲よくしたい。日本人のよい習慣はどんどんマネして、私の態度で中国人に対するイメージをよいほうに変えたい」というような、力強い言葉も多かった。
そういう高い意識を持つ若者はすごく多いですよ。日本が好き、日本のことを学びたい、日本へ行って経験したことを周りに伝えたいと公の場でも話す学生は本当に多い。
政府は抗日ドラマを作る一方で、民間サイトのように日本関連のいい情報も実はたくさん発信しています。人民日報のネット版である人民網では日本の地方の小さな出来事や、毎週日本の面白いランキング、グルメや娯楽情報とかも紹介しています。政府の資金で日中交流を応援するサイトも、本当は作っているんです。
──そうした事実を日本人はあまり知らないかもしれません。
2013年に新聞・テレビの中国総局長・支局長ら約20人に執筆してもらった本を出したのですが、中国からいいニュースを出しても本社でハネられるそうです。日本の本社は中国の悪い点や反日ムードばかりを取り上げようとする。実際に現場を取材している特派員たちの意向とは異なり、それが報道の現実になっています。先ほど申し上げたような日本に学ぼうという政府系サイトの話など、日本のメディアは取り上げませんね。
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