残念ながら民主党復活への道のりは遠い 野党は何をどうやって訴えるべきなのか

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木本:「与党疲れ」が抜けていないと。民主党は、今の形で政権目指すより、大きな変化があってその時に政権奪回した方がいいのかな、と思うんですが……。どうなんでしょうか?

御厨:僕もそのほうがいいと思う。自民党は野党になった時に党名を変えるという議論がありましたが、それは結局やめて、還暦まで生き永らえた知恵がある。民主党はそれに比べて底が浅い。もういっぺん初心に返って、自分たちがやろうとしたことは何だったのか、思い返すことが必要です。政権取って失敗したことにこだわっていてはダメ。作り変えたほうがいい。

木本:なるほど。負けたところで立ちすくんだままになっている。

原点の「自民党でない政治」に立ち返れ

御厨貴(みくりやたかし)/1951年東京都生まれ。東京大学法学部卒。政治史、政治学者として、政治家の生の声を記録するオーラル・ヒストリーの第一人者として活躍。東日本大震災復興構想会議では議長代理を勤める。『時事放談』(TBS系)にも出演中。1997年『馬場恒吾の面目』で吉野作造賞を受賞するなど、著書編書多数。東京大学名誉教授

御厨:原点に戻って、民主党に結党したのはなぜか。「自民党でない政治」を目指したはずなのです。それを安倍政権を反面教師にして、話合ってやっていけばいいのだけど、枝野さんはそういう顔をしてないね。

木本:共産党の志位さんの方がいいですよね。

御厨:共産党はどんなに頑張ってもそんなに議席は増えない。今は前向きに頑張って夢を語れている。ああいう政権を作ろうと。

木本:「やれるやれない」ではなくて、ハッタリでもそれを目指すと宣言する。

御厨:だけど民主はそれすら言わない。ようやく統一会派ができましたが、「松野頼久のような、出ていった奴は許さん」なんて言っています。自民党が偉いのは石破茂さんのように新進党で一度出ていった人にも、あるいは二階俊博さんみたいに10年間、小沢一郎の側近だった人でも、戻ってきた時には使うわけです。

木本:石破さんなんて総裁候補ですもんね。

御厨:「いいよ、そんな過去は」と言えない。松野さんに対してうじうじ言うような、民主党は「ケチくさい」感じがあるんです。

木本:わかりますその感じ。で、僕の経験を語らせていただくと、父の関係から地元の自民党の手伝いでチラシを配ったことがあります。民主党も、共産党も手伝いましたが、自民、民主はいろんな団体の寄り合い所帯なんですよ。いろんな利害がごちゃまぜな感じ。でも共産党の候補者だけは夢を語る。

御厨:ああ、わかる気がしますね。

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