韓国財閥が大慌て、「このままでは潰れる!」 サムスンはバイオなど新事業確立に注力

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2015年12月、朴槿恵大統領がサムスンが設立するバイオ工場の起工式に出席した。李在鎔副会長(写真後)は、バイオ事業を新たな成長エンジンとし、投資を増やす予定だ

韓国を代表する企業たちの動きが尋常ではない。「このままなら潰れてしまう」という危機感が覆い、すべての大企業が大規模な構造調整を始めている。政府からの圧力からそうしているのではない。主力事業以外を果敢に切り取り、グループ会社の統廃合や大規模な人員削減さえ実施するなど、体質改善に集中している。また、不確実ではあるが将来の収益源に対する投資にも積極的だ。

財界の構造調整では、サムスングループが一歩抜きん出ている。サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が「ニュー・サムスン」を唱えて始まった変化だ。

サムスン電子を中心にIT、金融、バイオがニュー・サムスンの3つの軸になる。特に、新事業として最近目立つのは「スマートカー」と呼ばれる自動車電装部品事業。サムスンSDIはドイツのアウディと次世代電機SUVを共同開発することを決めている。

サムスンはバイオ、現代自はスマートカーに注力

また、サムスングループが「将来の収益源」とアピールするバイオ医薬品事業への投資も加速している。同社は2020年までにバイオ分野で1兆8000億ウォン(約1800億円)の売上高を達成するのが目標だ。さらに2015年12月、仁川(インチョン)にサムスンバイオロジックス社の第3工場の起工式を行った。

2018年9月にこの工場が完成すれば、サムスンバイオロジックス社は生産規模36万リットルの世界最大のバイオ医薬品生産施設を持つことになる。規模で見ると、26万リットルの生産規模を持つスイスのロンザや24万リットルの独べーリンガーインゲルハイムを上回る規模になる。

現代・起亜自動車は、主力の自動車産業の技術力をさらに強化するため、長期的で大規模な投資を決定した。完成車の品質競争力の向上と将来の成長エンジンの拡充、ブランド価値の向上、自動車中心のグループ間のシナジー効果の最大化が課題だ。同社は環境に優しいスマートカー分野において、将来のコア技術を確保するために2018年までに81兆ウォン(約8.3兆円)を投資する計画だ。投資額全体の76%を韓国内に集中して行う。この投資には、建設や物流など自動車産業の関連部門でシナジー効果を最大限発言させるための投資、ということだ。

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