C型肝炎の特効薬、バカ売れで浮上する問題 2015年5月発売、いきなり国内販売トップに
2015年、最も注目を浴びた製薬会社の一つが、米国のギリアド・サイエンシズだ。
肝臓がんの原因となるC型肝炎の2つの特効薬、「ソバルディ」(遺伝子型2型のC型肝炎ウイルスの感染者向け)と「ハーボニー」(1型ウイルスの感染者向け)が2013年末の発売直後から爆発的に成長し、2014年の医療用医薬品売上高は、前年の世界18位から9位に急浮上した。
2015年5月に国内で発売したソバルディは、同年7~9月に432億円を売り上げ、国内製品別売り上げランキングでいきなりトップに立った(IMSジャパン調べ)。あまりの売れ行きに、厚生労働省はソバルディ、ハーボニーを対象候補に、2016年度の薬価制度改革で、年間販売額が1000億円以上などの条件を満たした製品の薬価を最大50%引き下げる仕組みの導入を決めた。
約8000人の従業員を抱えるギリアドは、感染症領域に強みを持ち、エイズ治療薬(抗HIV薬)で世界最大手。日本で有名な抗インフルエンザ薬「タミフル」も創製した。C型肝炎薬の大ヒットで業績が様変わりした今、ギリアドのトップは何を思うのか。タミフルの開発者でもある、ジョン・ミリガン社長を直撃した。
患者同士の口コミで売り上げが急拡大
――いきなり世界トップ10入りを果たして、どんな心境か。
まだ慣れないが、いやな感じはしない。今の売り上げの背景にはサイエンスや、これまで積み上げてきた努力があり、よい医薬品を患者に届けることができている。
ギリアドは1987年設立の、まだとても若い会社だ。売り上げ規模も展開地域もさらに拡大していく。2013年に日本法人が本格的に立ち上がり、ソバルディ、ハーボニーを発売できたこともとてもうれしく思っている。
――ソバルディ、ハーボニーのすさまじい売れ行きをどう見ているか?
今まで経験したことのない状況だ。世界には、何十年も革新的な治療薬を待っていたC型肝炎患者がたくさんいる。われわれの薬は100%近い治癒率があり、従来よりも短期間で治療できるので、医師にも患者にも広く受け入れられている。患者同士の口コミでも広がり、患者から医師に「ぜひこの薬を使ってほしい」と言うケースもある。
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