リクルート、ますます高まる買収意欲の矛先 オランダの派遣会社買収に約1900億円投入

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実現すれば、アデコ、ランスタッド、マンパワーに次ぐ、世界4位に浮上する(現在は世界6位)。リクルートは今回の買収によって、欧州の人材派遣市場に本格参入することになる。世界3強の背中はまだ遠いとはいえ、佐川常務は「規模は追わない。リクルートの事業運営ノウハウである『ユニット経営』を導入し、企業価値を向上することが大事」と強調した。

リクルートは2014年10月の株式公開時、「7000億円規模のM&A余力がある」としていた。これまでの1000億円と今回の2000億円で、計3000億円。1年余りですでに半分近い水準に到達することになる。

のれん代の算定はこれから

7000億円のM&A余力のうち、3000億円を投じた(写真はリクルート本社、撮影:尾形文繁)

買収後のUSGでは、本原仁志常務がチェアマンに就任するものの、USGのロブ・サンダーベルヘンCEO、レーン・ヘイナートCFOが、引き続き留任する予定だ。「ローカルブランドが高い信頼を得ているので」(佐川常務)、ブランドは統一せずに、当面はUSGのブランドを使う見込みである。

気になるのは来期の業績への影響だ。ただ、のれん算定がこれからなのと、連結開始の時期が流動的なので、「お答えできない」(佐川常務)という。

果たして今回の買い物が高くついたか、安くついたか。リクルートは今後出てきた結果で、自ら証明していくしかない。

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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