アサヒビール、大型買収の棚ぼたを狙う真意 世界シェア1位・2位の統合にどう立ち回る?
「アサヒは世界で“ゲーム”に参加できるところまで来た。1兆円ぐらいの資金であれば調達できる」――。アサヒグループホールディングスの泉谷直木社長は、今年6月に実施した東洋経済のインタビューでこう語っていた。これから、その1兆円の使い道が明らかになるかもしれない。
現在、世界のビール市場において他社を凌駕する20%超のシェアを握っているのが、「バドワイザー」や「コロナ」を手掛ける、ベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブだ。同社は10月13日、世界シェア2位で「ピルスナー・ウルケル」などを展開する、英SABミラーを買収することで基本合意したと発表した。
買収金額はなんと710億ポンド(約13兆円)。各国の規制当局の審査を経て、食品業界最大のM&Aが成立すれば、世界市場の3割を占める巨大企業が誕生する。
アサヒにとって待望の知らせ
実はこの超大型買収、世界シェア10位のアサヒが待ちに待った知らせだった。
ABインベブとSABミラーのシェアがすでに高い米国や中国では、買収による拡大で公正な競争が阻害されるとして、独占禁止法に抵触する可能性がある。結果、両社の合算シェアを各国・地域における適正水準まで引き下げるため、規制当局から一部事業の売却を求められるとみられる。
いくつかある売却候補の中で、アサヒが狙うのではないかと注目を集めているのが、米国のミラークアーズ。SABミラーと米モルソン・クアーズの合弁会社だ。「クアーズライト」や「ブルームーン」を販売し、米国市場の3割弱を握る。このミラークアーズの株式のうち、SABミラーの持ち分に当たる58%が売りに出されるのではないか、とうわさされている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら