30、40代は別名「ジャンプ、ファミコン」世代だ 女子は「りぼん」、憧れのスターは「高橋名人」

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ほかにも、「漫画発」のさまざまな「ブーム」が到来し、同時に「社会問題化」したのが、この世代の特徴です。

5:ミニ四駆――ミニ四駆全国選手権大会「ジャパンカップ」

たとえば『月刊コロコロコミック』(小学館・1977年創刊)で掲載されていた「ミニ四駆」も大変流行りました。ミニ四駆は、タミヤが発売している小型の自動車プラモデルです。

自宅にサーキットを持っていた男子はクラスのヒーローでした。子どもたちは改造した自分だけのミニ四駆を持って、その子の家に集まり、スピードを競いました。1980年代後半にはミニ四駆全国選手権大会「ジャパンカップ」も始まりました。

6:ビックリマンチョコ――チョコを捨てる事件が社会問題化

人気の漫画はアニメ化されたり、関連グッズが発売されたりして、消費を盛り上げました。また、漫画のもとになったロッテのチョコレート菓子「ビックリマン」は、付属の天使と悪魔のシールが目当ての子どもたちが、チョコを捨てる事件が全国で多発し、社会問題化するほどでした。

7:キャプテン翼――中田英寿さんも影響を受けた

漫画はスポーツ界にも大きな影響を与えました。一例が『キャプテン翼』とサッカーブームです。1980年代ごろまで、男の子のスポーツといえば「野球」でした。ところが1980年代を席巻した『キャプテン翼』現象で「サッカー」人口が増加、1993年に満を持してJリーグが発足すると、人気スポーツは野球からサッカーへ移行しました。中田英寿さん(1977年生まれ)など、日本を代表する選手たちも、「キャプテン翼」に影響を受けたといわれています。

コギャルブームも「団塊ジュニア世代」から

ほかにも、1990年代後半には、ミニスカートにルーズソックス、ガングロに茶髪という女子高生の「コギャルスタイル」が確立し、ギャル系雑誌『egg』(大洋図書・1995年創刊)『Cawaii!』(主婦の友社・1996年創刊)が創刊されました。

この頃コギャルのカリスマ的存在となったのが、音楽アーティストの安室奈美恵です。「アムラ―」現象を記憶している人は多いでしょう。また、安室奈美恵をはじめ、小室哲哉がプロデュースするミュージシャンは「小室ファミリー」と呼ばれ、「小室サウンド」はコギャルたちの間で大いに歓迎されました。

2000年以降、コギャルブームは下火となりますが、彼女たちが20代になると、今度は女性誌『CanCam』のブームに火が付きました。なかでも「えびちゃん」こと蛯原友里の人気は絶大で、彼女が雑誌で身に付けたものが飛ぶように売れるほどの社会現象となりました。

一般的には、「団塊ジュニア世代」というと「バブルがはじけ、就職氷河期に突入した時期に社会人になった最初の世代」などの側面がフォーカスされがちです。事実、多くの人が大企業の内定をとれず、「ブラック企業」を転々とする人、フリーター、非正規雇用の人が非常に多く生まれ、「勝ち組」「負け組」の格差がはっきり出始めた世代でもあります。

しかし、このように「団塊ジュニア」は、幼少期から青年期までを見ると、「消費の中心プレイヤー」でありつづけたのも事実です。この世代は、「戦後、最も恵まれた子ども時代を過ごした世代」とも言えるのです。

「団塊ジュニア世代」を知ることは、いまの日本社会のひとつの「基盤」を知ることにもつながる――。「世代論」を研究すればするほど、私にはそう思えてなりません。

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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