批判だらけの「NHK紅白歌合戦」はどこへ行く 司会・出演者の人選に見える伝統保守の苦悩
白組、紅組の司会人選にもさまざまなドラマが見え隠れする。白組の司会者は井ノ原快彦。「あさイチ」の司会者でもあり、NHKへの貢献度は高いものの、2006年の中居正広に始まり、2010年からは嵐、そして、今回の井ノ原と白組の司会は10年連続でジャニーズ事務所のタレントが務める。ほかに適任者はいないのか、おまけに今年は7組ものジャニーズグループが出演する。
噛み噛みだった綾瀬はるかが今年も司会を務める理由
2年前に続いて今年の紅組司会者を務めるのは綾瀬はるか。2年前はかなり噛み噛みの司会だったが、好感度も高く失敗しても許される空気があり、逆にそのあわてっぷりが可愛いと評価も高かった。2016年から3年間にわたって放送する大型ドラマ「精霊の守り人」の主演も決まっており、妥当な人選だろう。
ただ、近年の紅組司会者といえば、その年のNHKの朝ドラや大河のヒロインが起用されるケースが多かった。昨年は朝ドラ「花子とアン」のヒロイン・吉高由里子、一昨年前は大河「八重の桜」の綾瀬、その前も、「梅ちゃん先生」の堀北真希、「おひさま」の井上真央、「ゲゲゲの女房」の松下奈緒といった具合だ。
一方、今年は、大河は「平清盛」と並ぶ平均視聴率ワースト1を記録した「花燃ゆ」、朝ドラ「まれ」がともに視聴者からの評判が芳しくなかったことで、「花燃ゆ」ヒロインの井上真央、「まれ」主演の土屋太鳳を起用するわけにもいかなかったのかもしれない。目下、絶好調の「あさが来た」を上期にやっていたら波留が起用された可能性もある。
そして出演者の人選だ。毎年、出演者が決定すると、「どうしてあの歌手が落ちたの?」「どうしてあの歌手が出るんだ?」などと外野が騒ぐのも恒例となっているが、それにしても今年は特に外野の声が大きい。
ネットでは和田アキ子や細川たかしといったベテラン勢が「ヒット曲もないのに、なぜ出られるんだ?」という不満のコメントが噴出。確かに和田アキ子は毎年、「あの鐘を鳴ら」している気がするし、細川たかしも、「北酒場」と、あまり有名じゃないタイトルの宴会ソングを交互で歌っているイメージがある。
「ほかにもっとふさわしい人がいるのでは」と言いたくなる気持ちもわかる。森進一が今年で勇退すると宣言したのは、そうした事情を察したからかもしれない。今後ますますベテラン枠は厳しくなる。厚顔無恥で行くか勇退するか、道は2つにひとつだ。
そういう声が多いと感じるのは、SNSなどで発言するのが圧倒的に若い世代だからで、中高年世代も同じことだ。発言手段を持たないだけで、同じように不満を持っているのは間違いない。
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