人事が注目する「学生のウソ」を封じる面接法 経団連「指針」にも盛り込まれた"成績表活用"

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そこで本記事では、この新しい面接手法について解説していきます。

リシュ面とは何か

リシュ面とは「履修履歴面接」の略で、面接の最初の5分程度、大学の成績表(履修履歴)を見ながら、学業における考えや行動について質問する手法を指します。ポイントは成績の良し悪しだけを見るのではなく、あくまでも学生の行動を多面的に知ることが目的だということです。

質問内容はさまざまですが、以下のような質問がよく問われています。 

「一番力を入れた授業はどれですか? 力を入れた理由は?」
「今から振り返ってみて、社会に出てから役に立ちそうな授業はどれですか?」
「一番力がついたと思える授業はどれで、それはどんな力ですか?」
「経営学とは、どういう内容ですか? わかりやすく説明してください」
「マーケティング論とマーケティング戦略論の授業によく出ていたと言っていましたが、2つの授業の最も大きな違いを教えてください」

 

このような質問で、企業は何を知ろうとしているのでしょうか。

従来の面接では、サークル活動やアルバイトなど、「本人がしたかったこと」「本人が得意だったこと」「本人の話したいこと」しか、知ることができませんでした。しかし学業に関する質問をすることで、大学での勉強という「(したいわけではないけれど)しなければいけないこと」「必ずしも得意ではないこと」に対して、学生がどのように行動したかがわかります。

実際に仕事を始めれば嫌でもわかることですが、仕事は「しなければならないこと」「必ずしも得意ではないこと」の連続です。これは、すでに社会に出ているビジネスパーソンの方であれば、ほとんどの方が同意してくださるのではないでしょうか。

サークルやアルバイトのように「本人がしたかったこと」においての行動は、本人の能力の最大値を計るのには向いています。もちろんそれも大切ですが、「しなければならないこと」に対してどのように取り組めるかも、仕事においては非常に重要です。

「新型うつ」などに悩まされるようになった企業は、モチベーションが低いことに対してどのように行動できるかを知るために、「リシュ面」を積極的に導入するようになっているのです。

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