維新、「円満離婚」とは程遠いドタバタの内幕 具体的な解党日もまだ決まっていない

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合意ができた以上は、凍結された10月分の政党交付金(6億6000万円)は解除され、12月分の政党交付金(同額)は総務省からつつがなく支給されるだろう。

大阪都構想で使われた費用5億円は弁済され、党職員の給与やボーナスも支払われる。松野氏は終始、笑顔だった。これは、代表としての責任がある程度果たされた解放感なのか、それとも前日に民主党との統一会派結成がほぼ決まったことの安堵感なのだろうか。ひょっとして、自分にそっくりな次女が、ミス日本コンテスト2016のファイナリスト13名に残ったことの喜びも含まれているのかもしれない。

ただその言葉には、吐き捨てるような感じも漂った。それは常々、松野氏が「同じ方向を目指した仲間だ。機会があれば一緒にやりたい」とおおさか維新の会のメンバーに“大人の別れ方”を呼びかけていた印象と大きく異なるものだ。

その一方で橋下徹大阪市長も、同日に行われた記者会見で記者に「維新の党」の党名を使うのかと質問され、「『維新の党』なんて、あんなの使ったらダメですよ。そんなセンスの悪いことしません。誰からも相手にされない名前なんてもう。『維新と言う言葉を使わないでね』と言っているだけです」と本音をむきだしにしている。

円満とはほど遠い離婚劇

これらの言葉から感じ取れるのは、「円満」という言葉からほど遠い空気だ。署名後の幹事長会見で今井氏に、「合意事項のうち、何がいちばん困難だったのか」と聞いてみた。今週初めに維新の党の関係者から、「大阪側とは今井幹事長が交渉している。9割まで合意できたが、1割が難しいようだ」という話を聞いていたからだ。

今井氏はちょっと考え、「一般党員からの党費を返す話はすぐまとまった。あとは同じ。並行して協議した」と答えている。こちらが事実なら、交渉は相当困難だったはずだ。さらにいえば、具体的な解党日もまだ決まっていない状態である。

それでも維新の党は民主党との統一会派形成へと動き出そうとしている。その道もたやすいものとはいえない。松野氏を始め維新の党のメンバーの多くにとって、民主党は古巣だ。ただし一部は消費税増税の際に小沢一郎氏と行動を共にし、あるいは民主党が政権から転落した2012年の衆院選で「民主党所属では戦えない」として党を離脱した“前科”がある。

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