星野リゾートがトマムを中国系に売った理由 独占!星野佳路代表に直撃インタビュー(上)

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――運営に特化することは、星野リゾートにとって、どんなメリットがあるのか。

2005年に全面改装して誕生した「星のや 軽井沢」。この星野氏の実家も売却済みだ(撮影:今井康一)

僕は1991年に実家の星野温泉の社長に就任してから、「星野リゾートは運営会社になるんだ」と言い続けてきた。

運営会社から見ると、所有しないことは、借金しなくてもよいということ。バランスシート上の資産や負債を増やさなくて済む。

それで得られるのが、展開の速さだ。星野リゾートは2001年に「リゾナーレ小淵沢」の運営を受託し、軽井沢から一歩を踏み出した。それから15年間で、軽井沢に1軒だった施設は、35軒になっている。これだけ案件を増やせたのは、所有をしないからだ。

1軒が35軒になって、借金も同じように35倍になったら、金融機関だって、どこか1軒でも大変になったらと思うだろう。運営に特化して、フィービジネスに切り替えたことが、星野リゾートが成長してきているポイントだ。

トマム売却で騒いでいる人がいるが、僕の実家である「星のや軽井沢」も2012年に売却済みだ。所有と運営を分離することは、僕たちにしてみれば、何ら特別なことではない。

──実家を売却してまで、スピードを追い求めた理由は何か。

僕らは待っていてもダメ。北海道ニセコにはヒルトン、箱根にはハイアットリージェンシー、沖縄にはリッツカールトン、京都にはフォーシーズンズができた。軽井沢に旅館を1軒だけ所有する会社よりも、リッツカールトンに運営させたほうがいいという時代がきている。

われわれは投資という点では、ゴールドマンサックスやグローブに勝てないし、その体力もない。だから運営に特化するという選択をした。

英語版のインタビューはこちら

※後編「星野流、規模100倍の外資系ホテルとの戦い方」に続く

「週刊東洋経済」2015年12月5日号〈11月30日発売〉「この人に聞く」に加筆)

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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