「リーダースキル」はリーダーになる前に磨け 自分の「心と技」をマネジメントする

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これに加えて、より本質的に大切な視点は、3~5年後をめどに自分のありたい姿を想定し、必要となりそうな能力の獲得を「今」始めるということです。

5年後には、メンバーを抱えて、部の収支を背負って、事業をつくっていきたいと思っているとしましょう。このような人は、ひととおりの経営の知識(たとえばMBAの1年時で学ぶ必修科目)は必須です。このような場合、学ぶだけで1年程度、実践で使い自分のものにするのに2年程度の時間がかかるでしょう。

こうなると、3年後にありたい姿になるためには、「今」学びを始めなければならないのです。

なってから準備では遅い

ちょっと、こんなシーンを想像してみてください。皆さんの会社の新社長が、社長になったその日から、「よい社長になるための方法」という本を読み始めました。みなさん、びっくりするか、あきれてしまうでしょう。しかし、中間管理職の場合、そのようなことが笑い話ではなく、実際にあちこちで発生しているのです。

本来であれば、課長になるのにふさわしい人が課長になるべきあり、課長になってから勉強するのは、論理的にもおかしい話です。

つまり、極めてシンプルに、チームリーダーになってからチームリーダーに必要なことを学び始めるのでは、遅すぎることを認識しなければならないのです。

今回は、リーダーとして「心・技・体」をマネジメントすることの大切さについて見てきましたが、いつの時も、「気がついたときがいちばん早いタイミング」であるということを肝に銘じて、能力開発に励んでいただきたいと思います。

田久保 善彦 グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長

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田久保 善彦 / Takubo Yoshihiko

慶應義塾大学理工学部卒業、学士(工学)、修士(工学)、博士(学術)。スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所を経て、現在グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長。経済同友会幹事、上場企業およびベンチャー企業外取締役等も務める。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』(ダイヤモンド社)、共著に『志を育てる』、『グロービス流 キャリアをつくる技術と戦略』、『27歳からのMBA グロービス流ビジネス基礎力10』(東洋経済新報社)等、多数。

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