4代目プリウス、4年に渡る汗と涙の開発秘話 「いい走り」で海外からの評価を得られるか

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ただし、TNGAの真価が問われるのはこれからだ。今後のプリウス級の車種は、プラットホームなどの基本構造が出来上がったTNGAを使いこなしていく必要がある。

「新型プリウスでは目一杯背伸びをしていいものを作った。次の車でこれを越えるのは大変だろうが、それはまた悩めばいい」(豊島)。

設計から調達、工場でのモノ作りまで、さまざまな改革を伴うTNGAはこの先、幅広い車種に展開していく。トップバッターとなるプリウスの成否はトヨタの将来を左右する。

退屈な走りを払拭できたのか

燃費性能と同じか、ある意味でそれ以上に開発チームがこだわったのが走りだ。

「プリウスは燃費はいいが走って楽しくないと評価されている」(豊島)。実際、燃費を優先し、走りは犠牲にしてきた。

低重心化やボディ剛性アップ、HVシステムのチューニングなどで走りは確実に進化

だが、もはやそれでは通用しなくなっている。日本に並ぶプリウスの主力市場の米国では、原油価格低下によるガソリン安によって消費者は燃費を重視しなくなっている。環境意識の高いカリフォルニア州でエコカーといえば、今や電気自動車のテスラになっている。

高速走行が多い欧州では、元々プリウスのHVシステムの特性が生かせないこともあり、主流となっていない。海外市場を見渡せば、走りも磨き上げないと勝負できないのが現実だ。

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