全国に約7万5000ある各寺社は、今後発展するのか衰退の一途をたどるのか、岐路を迎えている。そもそも、お寺はあなたにとって身近な存在だろうか? お寺は何をするところなのか、お坊さんとは何者なのか、仏教とは何か。そんな疑問を持っている人も多い。
そこで、「お寺業界はどこに向かっているのか」をさまざまな角度から探っていきたい。今回は、まるで電通マンのごとく「寺社フェス」というビッグイベントを成功へと導いた若き僧侶、天台宗常行寺副住職の友光雅臣氏を取り上げる。
増上寺に6000人の若者が集結
2015年5月、東京・芝にある増上寺は、異例のイベントで盛り上がっていた。総合プロデューサーは天台宗僧侶の友光雅臣氏。東京教区浄土宗青年会と共催で行われている「向源」という“寺社フェス”である。
今年で5回目となる向源。2011年の第1回目は80人の参加者だったが、5年で75倍の6000人に。写経や写佛、修行体験、日本文化などの体験講座、神道×仏教のトークショー、お坊さんのよろず相談所など多くのコンテンツがそろっている。
向源のコンセプトは「戦い続けている若者たちに、一瞬でもすべてのスイッチをオフにしてリラックスしてほしい。雑音から脱して、自己と向き合った中で見つけた大切な目標に[向]かうときの[源]となりたい」というものだ。
友光氏に経歴を聞くと、大学時代はDJをして遊んでばかりで、どこかの企業の派遣社員になって年収300万円くらいで生きていくのだろうと思っていたというから驚く。人生わからないものだ。しかし、なぜ僧侶に?
「ある日、つきあっていた彼女のお母さんに『うちのお寺に入らない?』と言われて。宗教に特に興味はなかったし、お坊さんの仕事というとお通夜、葬式、法要だけだと思っていたので、正直、乗り気ではありませんでしたが、僕が初めて、お坊さんになるという選択肢を意識した瞬間です」
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