ニューバランスが「原宿スタジアム」に描く夢 竹下通りに人工芝のフィールドが突如出現

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7月にはサガン鳥栖、モンテディオ山形との提携を発表

そこで取り組み始めたのが、ランニング以外の競技への参入だ。今年3月に野球へ参入。海外では5年前から先行して展開しており、MLB(米大リーグ)では選手のスパイク着用率が4割と、ナイキと首位を争っている。

日本でもMLBのイメージが浸透し始めており、年間の販売目標足数を夏前までに達成するなど、売れ行きは上々だという。

7月にはサッカーへの参入を発表。サッカーはナイキとアディダスの2強が強いが、ユニホームでは、英プレミアリーグの強豪リヴァプール、Jリーグのサガン鳥栖など6チーム、選手ではマルアン・ファライニ(英マンチェスター・ユナイテッド)、アドナン・ヤヌザイ(独ボルシア・ドルトムント)など10人と契約した。

テニスでも、ミロシュ・ラオニッチ(世界ランキング自己最高4位)との契約を7月に生涯スポンサー契約へ切り替えた。各競技カテゴリーで看板アスリートを作り、ランニングに次ぐ柱の育成を急ぐ。

これまでは有名選手と契約するマーケティングをあまりやってこなかったが、「チームスポーツではある程度、有名選手・クラブと契約していかないと難しい」(冨田社長)。今後もサッカーを中心に契約を増やしていく可能性が十分にあるという。

スニーカー比率を5割から4割に

「NB BETA STADIUM」は次なるステージに飛躍する夢のフィールドになるか

日本でも、スニーカーブームの終焉も見据え、競技用シューズの販売比率を高めていく。「シューズ全体の販売足数を現在の1.5倍に伸ばしつつ、現在5割のスニーカー比率を将来的に4割くらいにできれば」というのが、冨田社長のビジョンだ。

ただ、従来の方針を転換し、競技用の比率を高めていく戦略には、これまで強みとしてきたスニーカーの存在感を低下させる懸念も潜んでいる。既存分野の力を保ちながら、新規分野をいかに伸ばしていくか。ニューバランスは今、古くて新しいハードルに直面している。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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