【産業天気図・非鉄金属】市況軟化と製錬マージン悪化で「わが世の春」から花曇りに

空前の市況高騰で「わが世の春」を謳歌した06年度から一転、07年度の非鉄金属業界は前半、後半とも「花曇り」の展開となりそうだ。各社の業績はよくて横ばい、市況次第ではかなりの減益も考えなければならないだろう。
 非鉄業界に灰色の雲をもたらす要因は2つ。“市況騰勢の一服”と“製錬マージンの悪化”だ。
 前期の銅平均価格はトン当たり6970ドルで、05年度の同4097ドルから3000ドル近く上昇した。中国等での需要増に投機筋の思惑も絡んで、ニッケルで期初の2.3倍、亜鉛で2.5倍と他の非鉄金属も同様の急騰となった。住友金属鉱山<5713.東証>の場合、こうした相場要因によって前期は820億円の増益に働いた。ところが、今期も依然として金属価格は高値圏を維持するものの、前期ほどの騰勢は見込めなさそう。会社側の予想では、相場要因により逆に180億円の減益に転じる(銅価格想定:トン当たり6000ドル)としている。
 加えて、鉱山会社の寡占化が進んだことで、精錬会社は銅鉱石の購入交渉において不利な状況に追い込まれている。07年分の交渉では、これまで慣例とされてきた「プライス・パーティシペーション(PP)制度」(金属価格の上昇に応じて、利ザヤを鉱山側と製錬側で分配する制度)が廃止された。そのため、製錬側に入るのはポンド当たり15セントの定額マージンだけとなってしまった。亜鉛の場合はPPは廃止されなかったものの、前年比30%近くの加工賃値下げが実施されることになった。
 上記の要因から、三菱マテリアル<5711.東証>(前期のインドネシア製錬所での生産トラブルによる逸失益を回復)や三井金属<5706.東証>(亜鉛の4割超をヘッジ済み)を除き、大半の企業にとって減益やむなし、という厳しい1年となりそうだ。
 もちろん、各社とも無策というわけではない。製錬以外の部門を強化することで市況変動に左右されない体質への改善を図ろうとしている。最たる例が、DOWAホールディングス<5714.東証>だ。「都市鉱山」を標榜し、電子機器等に使われた非鉄金属の回収・リサイクルを進めているほか、伸銅品分野ではヤマハから2社を買収するなど、川上・川下両面で積極展開を進めている。また、古河機械金属<5715.東証>は、車載クレーンや削岩機など、機械部門のアジア展開に注力している。ただ、こうした事業の多くが軌道に乗るのは来期以降の話。07年度は製錬部門の反落を吸収しきれるか微妙な状況だ。
 とはいえ、足元の市況は各社の前提価格を軒並み上回っている。会社側の業績予想は最低線の数字と考えることもできるため、市況の動向次第では期中の上方修正の可能性は大きい。
【猪澤顕明記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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