タモリの半生には日本戦後史が詰まっている 糸井重里と近藤正高が語り尽くした!

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70歳を迎えたタモリの足跡を通して、現代史を振り返る
敗戦1週間後の誕生、大学紛争、モダンジャズの隆盛、ボウリングブーム、そしてテレビ絶頂期……この夏70歳を迎え、NHK「ブラタモリ」などの人気のタレントの足跡を通して、現代史を振り返る『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)が好調です。
故郷・九州でボウリング場支配人などを経て上京後、まだ「密室芸人」だった頃のタモリをよく知る糸井重里氏と、著者の近藤正高氏が「タモリとその時代」をテーマに、縦横無尽に語りつくしました。

 

糸井:近藤さんの『タモリと戦後ニッポン』は間違ってないんですよね。

近藤:おお、それはどういうことでしょうか。

糸井:こういう本って普通、よく言えば筆の勢いで、あるいはウケを狙ってより面白いほうに振っていったり、間違いを書きがちなんですよね。それがこの本ではものすごく注意深く、物事と物事の距離感がすごーくきれいに整理されて書かれている。

近藤:ありがとうございます。点から線、線から面にして、立体的に見せようというのは書くにあたってかなりこだわったところです。

糸井:福岡で(まだデビュー前の)タモリさんが山下洋輔さんたちと会ったとき(「本」編集部注・1972年)についても、あそこでどういう出会いがあったかっていうのをしつこく書いてて、ものすごくおかしかった。たぶん近藤さんの資質なんだと思うんだけど、みんな記憶が定かでない、それを照合するとここだけは確かなんだとか、あそこの描き方、僕はとてもおもしろかったですね。だから、僕が事実として多少知ってる部分でも、いやな感じがしないんです、まったく。知らないことについては「そうかあ」と思うんです。

近藤:山下さん自身、タモリさんとの出会いについては、あとでご本人に確認するなどかなり検証した、と聞きました。

「タモリはサラリーマンみたい」

糸井:この本で、近藤さん自身の意見を書いてる部分というのはほとんどないですよね。せいぜい高田文夫さんが「タモリはサラリーマンみたい」と言っていて、「自分もそう思った」と書いているところぐらいかな。

近藤:そうですね。意見をストレートに書くんじゃなくて、事実をどう並べるかというところで自分の見方はこうなんだと示したというか。それは、自分の生まれる前とか物心つく前の出来事も多いので、そうなったというところもありますね。

次ページ身内ではない第三者が描く「タモリ論」
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