脱常識!なぜ無印良品は世界で売れるのか? ヨーロッパではドライバーセットが超人気

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少し変則的な方法としては、ビルの1階と2階を借りるときに、家賃が高い1階は狭く、安い2階を広く借りて、全体として家賃を抑えるということもしました。

「一等地であっても、その中の1番ではなく、2番目、3番目の場所」という出店場所の基準は、際立った個性を強く主張するのではなく、日々節度を持って暮らしていく「これでいい」という無印良品のコンセプトにも合っているように思います。

基本を知り、仕組みを作れば、世界で通用する

あえて裏通りに店を構えて通好みの雰囲気を演出している店があるように、その店にふさわしい場所を選ぶことは、ビジネスを成功させるうえで重要な意味があるでしょう。

家賃だけではありません。派手な広告や宣伝のためのセール、高すぎる不動産紹介料など、費用対効果が合わないことにコストをかけるのは慎むべきです。いずれ回収できる見込みがなければ、安易に投資するべきではないというのが私の考えです。

このようなことを含めて、私は、海外でも日本でもビジネスの本質は変わらないと考えています。「基本」を知り、「仕組み」を作れば、必ず世界でも通用するはずです。

そういう意味では無印良品の海外戦略は、すべての企業に通用するスタンダードな方法でもあるとも言えます。肝心なのは、成功するまであきらめずにやり続けることです。そうすれば、たとえ時間がかかったとしても、必ず道を切り開けるのだと私は信じています。 

松井 忠三 良品計画前会長

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まつい ただみつ

松井オフィス社長。1949年、静岡県生まれ。1973年、東京教育大学(現・筑波大学)体育学部卒業後、西友ストアー(現・西友)入社。1992年良品計画へ。総務人事部長、無印良品事業部長を経て、初の減益となった2001年に社長に就任。赤字状態の組織を風土から改革し、業績のV字回復・右肩上がりの成長に向け尽力。2007年には過去最高売上高(当時)となる1620億円を達成した。2008年に会長に就任。2010年にT&T(現・松井オフィス)を設立したのち、2015年に会長を退任。著書に『無印良品の教え』(KADOKAWA/角川新書)などがある。

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