TOTOが最新鋭トイレ工場を稼働、生産性25%アップ、国内新設は23年ぶり、将来の工場再編も視野

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TOTOが最新鋭トイレ工場を稼働、生産性25%アップ、国内新設は23年ぶり、将来の工場再編も視野

衛生陶器のトップメーカー、TOTOは2月、滋賀工場敷地内に新設した衛生陶器(腰掛け便器)工場からの出荷を開始した。国内の住宅設備需要全体が伸び悩む中、TOTOの近年の投資先は中国、東南アジアなど海外が主体となっており、国内での工場新設は23年ぶり。新工場も、増産対応というより生産性向上が最大の使命だ。

新工場の本格稼働に先立ち、1月27日にラインの一部がメディアに公開された。以下、新工場の特長を見てみよう。

琵琶湖の東南部に位置する湖南市。ここに総敷地面積19万8000平方メートルのTOTO滋賀工場がある。1962年設立で、現在稼働中の衛生陶器工場としては、本社・北九州の小倉工場に次いで古い。とはいえ、設立当時の工場は老朽化で取り壊されており、現在は実質的にタンク量産工場(東棟)のみ。ここに、今回新設されたのが「滋賀工場・新西棟」だ。

新工場で製造されるのは、洋式トイレの本体に当たる腰掛け便器。まず、土石などの天然資源原料を粉砕して「泥しょう」という泥水をつくり、それを型に流し込んで成形。乾燥・検査を経て、表面に釉薬類を施し、最高1200度という高温のガス窯で焼成。そこに金具などの部品をセットして製品化する、というのが基本的な製造工程だ。

生産量は、4月に2ライン体制が整った段階で年間32万台。もともと2ラインとも今年4月の稼働を予定していたが、節水型4.8リットル便器(2010年8月発売)の販売が計画以上に伸びており、その受注に対応するため、1ラインだけ2カ月前倒しで稼働している。全長224メートル、横幅56メートルの建屋には、さらに1ライン分の増設スペースがあり、ここが稼働すれば(時期未定)年間最大54万台と、国内最大級の衛生陶器工場になる。

TOTOでは現在、国内需要の7割を国内4工場(小倉、中津<大分>、滋賀、愛知)で賄い、残りをベトナム、タイ、インドネシアから調達している。基本的に“地産地消”の方針に変更はないが、新工場立ち上げの一方で、「老朽化して効率の悪い他の国内工場の再編なども合わせて検討している」(麻生泰一・執行役員衛陶生産本部長)という。

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