“甘い”キムチで大躍進、革命児ピックルスの野望

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広告宣伝でも業界常識を覆した。当時、漬物メーカーは、新商品に派手な広告は出さず、地道に売り場での浸透を図るのが一般的だった。「こくうま」も市場での浸透に合わせて広告費を逐次投入していた。短期間でのヒット商品は生まれにくい以上、積極的な先行投資はリスキーすぎると考えられていたからだ。

が、ピックルスは「広告宣伝費を増やし、数量を増やせば採算はよくなる」(荻野社長)と攻めに出た。「ご飯がススム」の発売当初から広告やテレビCMを積極投入。11年2月期は、前期比倍増の1・4億円の広告宣伝費を投じ、今後も増やす方針だ。

「ご飯がススム」は日本のキムチとして完全に定着。「一番人気の商品で、売れ続けている」(イトーヨーカドー木場店の金子哲副店長)。増量タイプのほか大根キムチのカクテキなど新商品も投入した。「ご飯がススム」効果でピックルスの業績は上り調子。12年3月期も不採算事業撤退分をカバーし増収を維持、10年3月に稼働した関西工場(京都府)の稼働率向上もあり、最高益を更新する見込みだ。



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