“甘い”キムチで大躍進、革命児ピックルスの野望

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国内基盤の強化終え次の目標は世界進出

地場メーカーが大半の漬物業界にあって、ピックルスの全国展開は頭一つ抜けている。セブンの店舗展開に合わせて各地に工場を造ってきたからだ。13年上旬には、広島に新工場を建設予定。「これで全国を一通り網羅する」(荻野社長)と、これまで手薄だった中国地方以西の攻略に自信を見せる。

躍進するピックルスは、すでに次を見据えている。これまで海外展開はしないと公言してきたが、流通各社が海外進出を急ぐ中、「もう無視はできない。アジアで漬物をどう売るか真剣に考えている」と荻野社長は意気込む。海外でカリフォルニアロールがすしの標準になったように、世界的に受け入れられるのは、本場の韓国製キムチではなく、日本製の甘いキムチかもしれない。

今後の課題は、製造工程の機械化だ。手作業が主流の業界にあってピックルスも例外ではない。が、国内基盤を固めて世界で戦うには機械化は避けて通れない。さらに「採算を大きく左右する野菜の仕入れ価格を安定させるため、契約農家を増やす必要がある」と、漬物業界に詳しいインベストメントブリッジ社の廣井哲也アナリストは指摘する。

地味だった漬物業界に現れた“革命児”が、「ニッポンの漬物」を世界に羽ばたかせる日も近い。

ピックルスコーポレーションの業績予想、会社概要はこちら

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(張子溪 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2012年2月4日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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