AppleTVに秘められた壮大なる発展シナリオ アップルは「趣味」から「本気」へシフト

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Siriはこれまで、iPhone、iPad、Apple Watchなど、アップルのタッチデバイスに搭載されてきたiOSの音声アシスタントだった。Apple TVへのSiriの採用は、タッチディスプレイが搭載されていないデバイスとしては初めてとなる。

そのため、タップ操作の補助がない環境で、検索やアプリ起動などの用途をどれだけ快適に行えるか、という大きな試金石となる。

ゲーム市場をどうとらえるか?

見た目は、これまでと大きく変わるわけではない

最後に、ゲームについて触れておこう。Apple TVは64ビットプロセッサA8を搭載し、iOSでもおなじみのMetalを搭載し、高い表現力を確保している。

そして、Siriのマイクとして利用できるSiri Remoteを横に構え、ゲームパッドとして利用できる。あるいは、モーションセンサーを使ったゲームを開発することも可能だ。

まずはiPhone・iPad向けに配信されたゲームが移植されていくことになる。そのせいか、タッチアンドトライ会場でのデモを通じて感じたのは、カジュアルに長く楽しめるゲームが中心となるということだ。

iPhone・iPadと異なる楽しさを提供できるとすれば、これまで自分の手元の画面だけでプレーしていたゲームのディスプレイをテレビに変えることで、複数人でのプレーを実現する点だ。純正のSiri RemoteはApple TV1台に対して1つしかペアリングできないが、前述の通りBluetoothデバイスを複数台ペアリングすれば、コントローラーを使ったマルチプレーを楽しめる。同時プレー人数は、Apple TVとしての制限は設けておらず、アプリ次第だという。

ソニー「プレイステーション」、マイクロソフト「XBOX」のような元々テレビゲームとして開発された複雑で迫力のあるゲームというよりは、競合となり得るのは任天堂のWii向けのタイトルだろう。こちらについては、タイトルが出揃い次第、より深く触れていきたいと思う。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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