ローソン、ファミマが急ぐ「勢力拡大」の行方 それでも王者セブンの背中は遠い
「うちの業績をご覧になっていて、もう今までどおりじゃダメだと思うでしょ?」関東で店舗を展開する中堅コンビニのスリーエフ。ある役員は自嘲ぎみにこう語る。ここに来て独立路線を転換し、8月31日にローソンとの提携に向けた協議を開始したと発表。最大で約5%(約1.5億円)の出資を受け入れる方向だ。
スリーエフの業績は下降線をたどってきた。売り上げの高い店舗の近隣に大手の出店が相次ぎ、競争は過酷さを増すばかり。2014年度は3.5億円の営業赤字に転落。生鮮食品の拡充などで挽回を狙ったものの、15年度第1四半期(3~5月)は前年同期よりも赤字が膨らみ、手詰まり状態にあった。
ローソンを選んだ理由
このため、業界では商品の共同開発実績がある、ファミリーマートへの傘下入りが有力視されてきた。が、ローソンを協議の相手に選んだのは、「経営の独立性と看板を維持できるから」(スリーエフ)。
全国に約5万3000店あるコンビニのうち、8割はセブン-イレブン、ローソン、ファミマの大手3社が占める。圧倒的首位のセブンは買収に無関心な一方、ローソンとファミマは差をつけられまいと自陣営の強化に必死。中堅勢力を取り込む動きがにわかに活発化している。
ローソンは2014年12月、広島が地盤のポプラに5%出資。ポプラは今春から、菓子などでローソンのプライベートブランド商品を導入したほか、原材料の共同調達も行っている。
さらに11月からは鳥取と島根で試験的に「ローソン・ポプラ」というダブルブランドの店を始める。既存のポプラを新たな店に転換し、契約形態はローソンのものに統一していくという。9月18日に会見をしたローソンの玉塚元一社長は「当然ほかの地域にも(ローソン・ポプラを)広げていきたい」と意欲的だ。
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