三菱「アウトランダーPHEV」は欧州で勝てるか 異例の早期改良で国内販売は盛り返し

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2013年1月の発売から2年半という異例の早さで大幅改良した「アウトランダーPHEV」

「来店のきっかけになっている」。9月初め、都内の三菱自動車販売店の店長はこう言って顔をほころばせた。呼び水となっているのは、大幅改良を施して7月から新たに発売した、プラグインハイブリッド車「アウトランダーPHEV」だ。

実際、三菱自動車の国内販売(軽自動車を含む)は、7月に前年同月比1%増と、14カ月ぶりにプラスに転じた。アウトランダーPHEVはそれまで、月間販売が1000台を割り込んでいたが、新モデルの投入で7月は2383台と一気に跳ね上がった。”初速”こそ落ちたものの、8月も1313台と国内の月販目標である1000台を上回っている。

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2013年の前半で販売がゼロの部分は、リコールを受けて生産、出荷を停止したため

プラグインハイブリッド車とは、家庭用コンセントなどで充電できるタイプのハイブリッド車(HV)のこと。モーターだけで走る電気自動車と、ガソリンエンジンとモーターの併用で遠距離走行ができるHVの機能を併せ持つ。電気自動車は、航続距離の延長や充電インフラの整備にはまだ時間を要するため、電気自動車への橋渡しにプラグインHVが期待されている。

発売から2年半で大幅改良

2013年1月に発売されたアウトランダーPHEV。

スポーツ多目的車(SUV)「アウトランダー」のラインナップに、アウトランダーPHEVが追加されたのは2013年1月。そこからわずか2年半という異例の早さで刷新した。ボディやシャシーの大幅改良を施したほか、欧州の高級車ブランドを意識し、フロントデザインを一新。これが国内販売でも功を奏し、「ベンツやBMW、ボルボからの乗り換え客も獲得できている」(三菱自動車)という。

また、アウトランダーPHEVの購入者のうち、50代以上が5割を超すというのも大きな特徴だ。この理由について、販売店から聞かれるのは、「給電機能」を搭載していること。定年退職後、アウトドアや車中泊を交えた旅行をする人には、車にコンセントをつないで電化製品が使えるという点が受けているようだ。

ただ、日本は環境対応車の中でハイブリッド車が圧倒的なシェアを握っており、2014年は登録車販売の中で3割を超えている。一方、プラグインHVは登録車の中で1%にも満たないため、まだまだ認知度が低く、販売店からは「三菱だけがやっているエコカーとなると、なかなか理解が得られない」という声も聞かれる。

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