なぜ地方は新しい仕事を生み出せないのか 成功のカギは「IT」と「再生エネルギー」にあり

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従来、仕事の外注先は企業というのが一般的だが、クラウドソーシングは、crowd(群衆)とsourcing(業務委託)を組み合わせた造語であることからも想像できるように、不特定多数の人々に外注するという新しい雇用形態を指す。

仕事の発注者と受注者が直接マッチング

現在、クラウドワークスには、システム開発やウェブデザイン、ECサイト運営、テープ起こし、映像制作など、188種類もの仕事の外注が集まっている。実際に作業を請け負うワーカーは、自分の得意分野を選んで仕事を探すことができる。仕事の発注者と受注者が直接ビジネスマッチングするプラットホームを、IT技術によって実現している。

「働き方をどう変えていくかがわれわれのテーマ。なかにはキャンピングカーで日本全国を旅しながら、当社のサービスを利用して仕事をしているデザイナーもいる。時間や場所にとらわれず仕事ができる環境を提供していきたい」(田中優子・経営戦略担当執行役員)。

同社は、地方で働くことの事例を積み上げるため、「アンバサダープログラム」もスタートさせた。

「クラウドソーシングは難しいというイメージがあるので、われわれのサービスを熟知しているワーカーの方々にアンバサダーとして名乗りを上げてもらい、その人たちの主導で全国規模のセミナーを開催している。クラウドワークスの魅力を全国に広げてもらうと共に、クラウドワークス上で行われる受発注支援などにも協力してもらっている」(田中氏)。

クライドワークス本社で行われたアンバサダーサミット。同社のサービスを熟知しているアンバサダーが主導、全国各地でセミナーが開催されている

最近はアンバサダーを介して、地元企業や自治体のプロジェクト案件に関わる機会も増えてきたという。

「現在、プロジェクトが進んでいるのは宮崎県の日南市、神奈川県の横須賀市。横須賀市は人口流出が全国で最も大きい市であり、日南市は消滅可能都市と言われている。クラウドソーシングを用いて、地方でも働ける方法があることを示せば、地方における人口流出問題にも歯止めが掛けられる可能性がある」(田中氏)。

多様性のある働き方は、ワーク・ライフ・バランスの観点からも、重要な意味を持つ。クラウドソーシングは新しい雇用形態を作る大きなきっかけになりそうだ。

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