腰痛はうつ病の兆候か?--メンタルヘルス問題が腰痛を引き起こす可能性も
腰痛は、重たいモノを持ったり、運んだりしたときに発症する、といわれてきた。腰痛の代表ともいえる“ぎっくり腰”は、人間の腰を構成する椎間板、椎間関節の怪我であることは間違いない。引越しなどの手伝いで重たいモノを運んだりして腰痛になれば、それはそれで納得できる。
しかし、腰痛の場合、病理がはっきりしているケースがたったの15%といわれている。“ぎっくり腰”を含めて腰痛は、医師が診察しても、X線検査をしても、腰のどこが原因か判明しないケースが大半である。実のところ、腰痛の85%は、原因が判明しない。
原因は不明だが、腰が痛いのは確かであり、「腰痛」になる。診断書には、腰痛と書かれ、世間的にはそれで通用する。腰痛ということで、会社を休む理由にできる。
「腰痛は、死ぬ病気ではないが、原因がぼんやりしていることが大半。相手がはっきりしない。それだけに解決策がはっきりとは見えない」腰痛の専門家で、関東労災病院勤労者筋骨格系疾患研究センター長・医学博士の松平浩医師は、そう語っている。
時代的なストレスが腰を直撃している
「腰痛は、ストレスなど心理・社会的な問題にかかわって発症することが多い。ストレスが原因で、胃痛やめまいが起きるのと同様に、ストレスが腰の痛みに影響を与えている」松平医師は、ストレスから腰痛が発症していることが少なくないことを指摘している。
最近では、リストラへの不安や理不尽な経営で将来への不安を持つ人も少なくない。
失業などで、仕事に対する熱意や誇りどころか、仕事そのものがないというケースが多くなっている。時代的なストレスが増加しているのが現実である。