村上ファンド「復帰初戦敗北」で次の一手は? 黒田電気経営陣との戦いは長期戦に
会場から出てきた村上絢氏(27)は顔を伏せ、一言も発すること無く車に乗り込み、去っていった。娘の絢氏を伴い、再び市場の表舞台に返ってきた村上世彰氏(56)。だが、その初戦は敗北で終わった。
8月21日に電子部品商社、黒田電気の臨時株主総会が、同社の登記上の本社である大阪で行われた。議題は「村上ファンド」で知られる村上世彰氏をはじめとした4人の社外取締役の就任。世彰氏の長女、村上絢氏が6月から代表に就任しているC&Iホールディングスが、黒田電気側に求めていた。
ことごとく食い違う両者の主張
株主提案を通じて村上氏側が求めていたのは、余剰資金の活用だ。黒田電気には売掛金を含めて244億円のネットキャッシュがあることを根拠に、「配当性向100%は可能だ」と主張。また、エレクトロニクス商社には再編の余地があり、黒田電気はM&Aを通じて再編を主導、売上高1兆円企業になるべきだとしていた。
一方、黒田電気側はこの株主提案に対して真っ向から反対していた。配当性向100%に関しては、売掛金の回収期間が長く、月商の200億円程度の現金は運転資金として確保しておく必要があるとし、プレスリリースで「黒田電気の事業特性並びに企業価値の源泉を無視した非合理な主張」と断じていた。
また、エレクトロニクス商社の再編についても、黒田電気が液晶の卸を主体とした事業構成で、自ら製造部門を有しているという独自性から、村上氏のいう再編論とはそもそも事業方針が違うと主張していた。
午前10時から行われた株主総会には101人(6月26日に行われた定時株主総会では70人)が出席した。黒田電気の村橋和哉執行役員によると、「村上氏側で来ていたのは絢氏と(C&Iホールディングスの副代表で、新任取締役候補の)福島啓修氏。それと(元レノ代表の)三浦恵美氏と思しき人もいたが、定かではない」という。世彰氏を含めた、残り3人の取締役候補は来ていなかったようだ。
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