日本とロシアの間では、好ましくない事態が相次いでいる。ウクライナ問題に起因するロシアと西側諸国との関係悪化だけでも大きな問題だが、8月22日にはメドヴェージェフ・ロシア首相が北方領土の択捉島を訪問したことで外交的な緊張が高まっている。ただこうした問題を乗り越え、両国がすでに合意しているプーチン大統領の今年内の日本訪問が実現することを期待したい。
メドヴェージェフ首相の訪問を機に北方領土への関心が高まっているこの機に、北方領土問題とは何か、今後日本としてどのように交渉に臨むべきかをあらためて考えておこう。
なぜロシアが占拠しているのか
簡単なおさらいから始める。
第二次世界大戦の終了後、ソ連(現在のロシア)が占領していた日本の領土である「千島列島」「樺太(サハリン)」および「歯舞・色丹」の帰属が問題となった。
これを解決する最初の機会は、日本と連合国(戦勝国)が1951年に締結したサンフランシスコ平和条約であった。しかし、ソ連は連合国の一員として条約交渉には参加したものの、最終的には同条約に署名しなかった。
ソ連が署名しなかったことは条約の規定にも影響を及ぼし、「千島列島」や「南樺太」は日本が「放棄する」とだけ記載され、「歯舞・色丹」については何も言及されなかった。もしソ連が署名するのであれば、もっとはっきりした規定となったはずで、たとえば日露戦争後に日本領となった「南樺太」については「ソ連に返還する」と明記されただろう。
その結果、両国間には、今に至るまで国境問題が残ることになった。
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