【産業天気図・ホテル/旅行】今下期は景気の波に乗り「晴れ」。ただ企業選別も進む

ホテル・旅行業界は、景気の腰折れがなければ、当面は堅調に推移しそうだ。ただ、個別企業で見ると、個人の嗜好やネットへの戦略の巧拙によって利用者からの選別が一段と進みそうだ。
 旅行は、今4~6月の取扱額が前年同期比2.4%増の1兆3959億円(国土交通省「主要旅行業者の旅行取扱状況」)と、まずまずの出足。今年後半から来年前半も、国内は愛知万博の反動で伸び悩み、海外は増勢という図式は変わらない。その波に乗って海外個人旅行を得意とするエイチ・アイ・エス<9603.東証>は成長路線を維持しそう。一方で海外旅行2位を争う阪急交通社<非上場>は価格競争に巻き込まれ、苦戦を強いられそうだ。各業界で話題のM&Aに関しては、02年に業界2位の近畿日本ツーリスト<9726.東証>と同3位の日本旅行<非上場>の合併がご破算になった経緯があり、規模を追求した生き残り策は考えにくい。あるとすれば、専門特化した会社を対象とした小粒な案件や、ファンドを通じた出口戦略の案件だろう。
 ホテル業界も首都圏では景気回復を反映して客室単価が底打ちの傾向だ。藤田観光<9722.東証>が運営する「フォーシーズンズホテル椿山荘」はその中で単価を意識した販売戦略が功を奏し、客室単価が上向く。帝国ホテル<9708.東証>もブランド力は健在で、婚礼や宿泊は好調を維持しそうだ。
 ただ07年前半には「ザ・リッツ・カールトン東京」が開業する予定。国内老舗ホテル勢と比べて平均客室単価は倍近い高単価で、顧客層がぴったりと重なるわけではないが、少なからず顧客や従業員の流動化が起きよう。帝国ホテルは国際興業<非上場>を介して米国サーベラスが実質筆頭株主で、M&Aという意味でも波乱含みだ。
【山谷明良記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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