型破りHISの胸算用 長崎と上海を結ぶ格安クルーズをスタート

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長崎は距離的に中国に近いとはいえ、オーシャンローズ号の乗船時間は約22時間にもなる。が、その間飛行機のようにシートベルトを締めて座席に座っているのではなく、船内を自由に動けるのがクルーズ船のよさ。長時間の乗船を逆手に取って船内でさまざまな娯楽を楽しんでもらおうというのが澤田会長の発想だ。改装後のオーシャンローズ号には、ステージを持つ最新鋭の劇場型シアターなどが設置されるほか、「将来は船上カジノも造られるのではないか」とのうわさもある。

こうした仕掛けに対しては長崎県の期待も大きい。「明治時代や戦前には、長崎-上海航路が多くの人を運び、長崎が全国のゲートウェーになっていた。もう一度、その地位に就きたい」(坂越健一・文化観光物産局局長)。

既存の日中間航路は、料金が高いうえ、乗船時間も40時間前後かかる。「LESは5~10年後には非常に大きなインパクトになる」(澤田会長)。業界風雲児の新たな取り組みに注目が集まる。

(週刊東洋経済2011年11月19日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

野村 明弘 東洋経済 解説部コラムニスト

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のむら あきひろ / Akihiro Nomura

編集局解説部長。日本経済や財政・年金・社会保障、金融政策を中心に担当。業界担当記者としては、通信・ITや自動車、金融などの担当を歴任。経済学や道徳哲学の勉強が好きで、イギリスのケンブリッジ経済学派を中心に古典を読みあさってきた。『週刊東洋経済』編集部時代には「行動経済学」「不確実性の経済学」「ピケティ完全理解」などの特集を執筆した。

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