夜の新宿は中国人の「代理爆買い」で沸騰中 留学生がスマホで受注、アリペイで決済

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女性の買ったものを運ぶのはやはり男性の役目?

もっとも、日本企業のマーケティングは中国人需要の急増に追いついているとは言いがたい。新宿のドラッグストアやディスカウント店を回ってみたところ、「中国語のPOPがないために、顧客を取り逃がしているケースも少なくなかった。中国語で巨大なポスターを作ったり、中国語の話せる説明員を派遣したりすると効果的だが、まだ多くの企業ができていない」と徐さんは見る。

「中国人向けのセールスで重要なのは、常にやり方を変えてみる努力。仮説を立てて検証している日本企業は少ない。先ほどの留学生のように情報発信力がある女性の話を聞いてみるだけでも大きな売れ行きの違いにつながる」と徐さんは話す。

新宿には、中国人だけでなく、台湾や香港、タイ、マレーシアなどからもたくさんの旅行客が買い物に来ている。共通しているのは、Facebookや微信などのSNSを頻繁に見ながら商品を探している姿だ。「どこの国でも口コミの威力が大きいことを物語っている」(徐さん)。

午後11時近くまで新宿を回ってみて、中国人旅行客の購買行動についてどのようなことが判明したのか。徐さんは次のように締めくくった。

「銀座と違って新宿では個人旅行客が多い。留学生もたくさん買っている。香港人や台湾人、マレーシア人は主にFacebook、中国人は微信を買い物の際に用いている。日本に精通した彼女たちは情報発信・情報拡散力を持っているうえ、背後には何十、何百人もの家族や友人・知人が控えている。そうした人たちに売り込むことができるかどうかが、中国人市場攻略の鍵だと言える」

(撮影:尾形文繁)

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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