中国が米国を抜く日は21世紀前半に来ない--ジョセフ・S・ナイ ハーバード大学教授

米国は今、苦難に直面している。2008年以降の景気回復は鈍化し、米国と世界の経済が2度目の景気後退に陥るリスクが高まっている。しかも、米国の政治は予算をめぐって膠着状態にあり、来年の大統領選挙を控えて妥協はますます困難になるだろう。こうした状況下、特に中国との比較で、米国の凋落を予想する向きが多い。

米ピュー・リサーチ・センターの世論調査によると、対象となった22カ国のうち15カ国で、中国が米国に代わって「世界をリードする超大国になる」、あるいは「すでになった」と大半の人々が見ている。

英国では、中国が世界のトップだと回答した割合が09年の34%から47%に上昇した。その傾向はドイツ、スペイン、フランスでも同様だ。

この調査では、中南米、日本、トルコ、東欧よりも、最も古くて近い同盟諸国において米国に対する悲観的な見方が強かった。米国民においてさえ、中国が米国に代わって世界の超大国になるかどうかについて、見方が半々に分かれている。

こうした米国衰退論は前例がないわけではない。米国民は自国の力を見誤ってきた長い歴史がある。1950年代と60年代においては、人工衛星スプートニクの打ち上げ成功後、ソ連が米国を超えたかもしれないと思った人が多かった。80年代は日本で、今は中国だ。

今度こそ「凋落論者」が正しいのだろうか。その答えは、中国の今後の政治的変化がもたらす不確実性に大いに左右されるだろう。

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