フランス女性の「食事観」は日本人と全く違う 食事も弁当もシンプルさを優先

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フランス人が自宅でのもてなしが上手なのは、こうして子どもの頃からお手伝いをして腕を磨いているからなのか、と大いに感心した。

毎日の食事作りのほかに、日本の働く母親にプレッシャーを与えるのが、お弁当だ。キャラ弁などにこだわらなくても、食材の買い物から、朝食作りと同時進行の作業、衛生面に配慮しながらの調理、盛りつけなど、骨が折れる。

母親に優しいお弁当事情

こんな、お弁当プレッシャーからも、フランスの母親は解放されている。遠足のときなどに、学校からお弁当を持ってくるよう指示されるが、付き添いのボランティアとして同行した際、その実態を見る機会を得た。

昼食時に子どもたちがリュックから取り出したのは、パック入りのハム、チーズ、バゲット、ポテトチップ。バゲットに、自分でハムやチーズを挟んで食べる。丸ごとのキュウリをバリバリとかじっている男の子もいる。なかには、バゲットにハムなどを挟み、アルミホイルで包んで持ってきている子どももいたが、これは手間がかかっている方だ。わざわざ日本の食材を売っている店に出かけ、日本風の柔らかい食パンを手に入れ、早起きしてサンドイッチを作ってきた自分が哀れに思えた。

みんなが簡単なお弁当ならば、恥ずかしいこともない。帰宅した後、お弁当箱を洗う必要もない。なんて母親に優しい、実質重視のお弁当だろう。

かつて、幼児を抱え、フルタイムで働いていたとき、悩みのひとつは炊事だった。「一汁三菜にしなくては」などと思い込み、家族の食事の用意に苦悩した。簡単に食卓を調えるための知恵がなかった。フランス流の食事習慣をヒントに、日々の食事もお弁当もシンプルにすれば、働く母親は大いに助かるのではないだろうか。

国末 則子 フリーライター

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くにすえ のりこ / Noriko Kunisue

フリーライター。東洋経済新報社、朝日新聞記者を経てフリーライターになる。2001~2004年、2007~2010年の2度にわたってパリに滞在し、2人の子どもを現地校に通わせた。著書に『パリの朝食はいつもカフェオレとバゲット』(プレジデント社)。
 

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