三菱自動車が「拠点再編」で攻める市場は? 北米生産撤退で戦略はクリアになった
三菱自動車が懸案にメスを入れた。北米子会社が米イリノイ州に構える工場の生産を2015年11月末で終了することを決めたのだ。
目下、同工場で生産しているのは「アウトランダースポーツ(日本名・RVR)」のみ。米国市場向けのほかロシアなどへの輸出向けにも生産しているが、2014年の生産実績は6.9万台に過ぎず、稼働率は5割台にとどまっていた。今後も北米での販売は継続し、現地生産分は日本の岡崎工場に集約する。
「身の丈に合っていなかった」
三菱自動車はこれまでにも拠点再編を進めており、2008年にオーストラリア、2012年に欧州での生産から撤退した。リーマンショック後に生産台数が、2万~3万台まで落ちた米国は、つねに撤退が検討されてきた市場でもある。三菱商事出身で、2005年から経営再建の指揮を執った益子修会長がかつて、「身の丈に合っていなかった」と指摘した海外拠点の一つだ。
このタイミングで決断に至ったのは、生産台数の3割超を占めるロシア向けの輸出が、景気低迷を受けて2014年後半から急に落ち込んだことが大きい。1000人を超す従業員が働く米国工場は、今後買い手を探す。仮に売却先が見つからなければ、退職金や工場除却に伴う特損が発生するおそれもある。
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