ダメ資料が1秒で改善する「スゴ技」ベスト5 「なんとなくダメ」な資料が劇的に変わる!

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少し話がそれますが、よく「『A4用紙1枚にまとめろ』と言われるのですがどうしたらいいのかわからない」というご質問を受けます。これもやはり視線や話しの流れを意識するという点では同様です。A4用紙1枚というのは、言わば映画の予告編のようなものです。それをみて本編を見たいと思うかどうかがポイントです。もっともインパクトのあるシーンを提示するとともに、その流れ、つまりストーリーが見えるようにすることを目指しましょう。

最もインパクトが出る角度を探す

第2位:角度を変える
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【図】井戸水の年間温度変化のグラフの例

【BEFORE】のケースは、特にノイズとなるような情報はありません。あと一息というおしい資料です。まずはここまでノイズカットすることで改善点が見えてきます。

【AFTER】で大きく改善した点は、データの並び順です。メッセージを表現できているかどうかという観点から、変更をしています。

メッセージでは「井戸水は年間を通じて……夏は冷たく、冬は暖かく感じる」とあります。ここで夏や冬という言葉、つまり「四季」という概念が出てきていますので、月の並び順も四季の順に並び変える必然性が生まれてきます。よって、4月をはじめとした春夏秋冬の並びにすることによって、1月と12月に分断されていた冬の温度差がひとつになり、夏と冬の10度以上の温度差が際立ってくるわけです。

データの並び順を変えるのは、「角度を変える」というテクニックです。エクセルなどの表計算ソフトは、データの並びを単純に昇順・降順に並べてしまいますが、ビジネス活動や分析対象に応じてデータの並びを変えて角度を変えないと見えてこないものがあります。売上分析などは、顧客の行動や生活パターンに合わせてデータを見る角度を変えなければ、メッセージのインパクトをきちんと伝えられません。

角度を変えるテクニックとしては、並び順を変える他に、項目を傾向がわかりやすくなる範囲でくくって見せるというやり方があります。第4位で紹介した生データの加工でも、24時間を生活パターンにくくって、角度を変えています。

データを昇順・降順で並べるだけではなく、ここでもメッセージに合わせて並び替えることが求められます。資料や図解など表現において正解はひとつではありませんが、ただひとつ言えることは「メッセージが表現できていれば妥当な解」だということです。メッセージをつぶやきつつ、様々な角度で試行錯誤をしてみましょう。

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