第三者委員会が指摘した東芝の"病根"とは? 「組織的に不適切な会計処理をしていた」

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会見に臨んだ第三者委員会のメンバー。左から2人目が委員長の上田弁護士(撮影:尾形文繁)
東芝の不適切会計問題に関する第三者委員会が7月21日に開いた記者会見。冒頭で、第三者委員会の委員長である上田廣一弁護士(元・東京高等検察庁検事長)は「経営トップらの関与に基づき、組織的に不適切な会計処理をしていることが認められた」と、不適切会計の病巣が経営陣にまで及んでいたことを明らかにした。
第三者委員会による調査対象は(1)工事進行基準案件、(2)映像事業における経費計上、(3)半導体事業における在庫評価、(4)パソコン事業における部品取引など、の4つに関する会計処理だ。2009年度から2014年度第3四半期までの期間を調査した結果、連結税前利益ベースで合計1518億円もの不適切な会計処理が行われているとわかった。
ただし、東芝の決算処理は「不適切会計」であるとしたものの、経営者が意図した間違い、つまり「不正会計」ではないとした。質疑応答における報道陣と第三者委員会の主なやり取りは以下のとおり。第三者委員会は4人の委員が入れ替わりで回答したため、個人名は記載していない。

利益至上主義が企業風土にあった

――今回の調査を終えて抱いた感想は?

日本を代表する大手の会社がこんなことを組織的にやっていたということで、衝撃を受けた。

――今回の不適切会計の原因は何か。

報告書にあるとおり、ガバナンスと内部統制、それと各職員の意識が原因だと考えている。「今年、この会計期間は利益を達成しなければならない」という当期利益至上主義が東芝の企業風土としてあった。

2011年3月の東日本大震災から、タイの洪水、超円高と非常に厳しい経済環境があり、何とか利益を上げなければいけないという経営陣の意識があった。その中で、営業へのプレッシャーなどがあったことが一因だと考えている。

――第三者委員会の報告書では「不適切な」という表現を使っているが、「不正」「粉飾」とまで判断していない理由は何か。

会計的な理解からいうと、虚偽表示には「誤謬」と「不正」が2つの種類がある。経営者および職員が意図して間違えたものを不正という。

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