新幹線放火、対策のカギは「台湾」にあった "新幹線の父"の息子が事態を予見していた!?

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放火による火災で停まった東海道新幹線「のぞみ」(写真:共同通信)

6月30日に起きた東海道新幹線内での放火事件。2人が死亡、26人が負傷という惨事となった。その後、火災時の排煙対策など、新幹線における危機管理のあり方が社会的な議論の的にもなった。

もちろん、東海道新幹線を運行しているJR東海は、事故など不測の事態に備えた訓練を定期的に実施している。中でも、列車火災を想定した訓練は最重要項目の一つ。前提条件を変えて、繰り返し実施している。

日本の対策は「未然防止」に重点

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2012年12月に行われたJR東海の訓練(撮影:尾形文繁)

3年ほど前のことになるが、乗客をほかの車両に誘導し、車両の仕切戸を閉めて煙の進入を防ぎ、避難はしごで乗客を車外に避難させる訓練の模様が報道陣に公開された。

アナウンスに従って乗客役を演じる社員たちが整然と行動していたのが印象的だったが、はたしてこのとき、列車火災が本当に起きると思っていた社員はどのくらいいただろうか。

「世界一安全」とされる東海道新幹線は、トラブルを未然に防ぐために万全の対策を講じている。そのため、トラブルが起きてから乗客が自ら窓ガラスを割って車外に脱出するような事態は想定していない。

そもそも日本の新幹線は窓ガラスが割れない構造になっている。一般的なガラスだと、冬場の走行中に車両床下の着雪が落下した際の衝撃で、石が窓にぶつかり破損する危険があるためだ。

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