トヨタ「アクア」の人気が全く衰えない理由 発売4年目でも販売トップをひた走る

拡大
縮小

まずは、クルマとしての完成度の高さが挙げられる。最大の特長は圧倒的な燃費の良さだ。改めて説明すると、アクアは排気量1500ccのガソリンエンジンとモーターを併用するハイブリッド専用モデル。既存の燃料インフラを使って燃費を高められるのが利点である。カタログ値で37.0km/L(ガソリン1リットル当たりの走行距離、JC08モード、以下すべて同じ)という世界トップの燃費性能を持っている。

もともとアクアは2011年末の発売当初、プリウスの弟分的な立ち位置で、35.4km/Lという燃費性能を持って登場した。この時点で、トヨタのもう一つのHV専用でドル箱のプリウスを1割近く上回る世界最高水準の燃費性能を実現して、世に出てきた。

発売当初は悪評もあったが…

発売当初は「実燃費がそれほどよくない」「乗り心地が硬い」「インパネ(内装)がプラスチック感丸出しで、安普請なところが気になる」などといった指摘もあったものの、アクアは順調に売れた。車両本体価格で200万円を軽く超えるプリウスよりも割安ながら、最新鋭のエコ性能を備えた点が高く評価されたのだ。老若男女、誰にも嫌悪感を抱かせないデザインも受け入れられた理由だろう。

現行アクアの「X-URBAN」(トヨタグローバルニュースルームより)

アクアの購入者は40~50代がもっとも多く、法人は全体の約2割という。法人が買い求めることは想像がつくとして、40~50代の人にとって、単なるコンパクトカーを買うというのは、少なからず抵抗があるのではないかと思うが、アクアはご近所の手前、乗っていて恥ずかしくない一方、ドイツ製の輸入車のように贅沢にも見えない。地方都市で奥さんが足代わりに乗るような、セカンドカーユースだけではなく、1家に1台のファーストカーでも十分に耐えうる。

アクアが売れた一方、トヨタの「ヴィッツ」や「ラクティス」など、自動車業界で「Bセグメント」と区分されるアクアと同クラスのコンパクトカーの販売が落ち込むという現象が起きた。たとえばヴィッツの車両本体は最安で144万円台から、ラクティスは同165万円台からと、アクアよりも安い。室内だけで比べるとラクティスのほうがアクアよりも広く、荷物もたくさん積める。

次ページそしてアクアに人気が集中した
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT