ダイエー、不振の20年が示す「革命」の代償 中内モデルはなぜ成功し、そして躓いたか

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生まれ変わったダイエー赤羽店。店頭には「daiei(ダイエー)」という屋号を残しつつ、「AEON FOOD STYLE(イオンフードスタイル)」という看板も併設した

ダイエーが食品分野に特化した新業態スーパー「フードスタイルストア」の展開に乗り出した。第1号店は東京・北区のJR赤羽駅近くにあったGMS(総合スーパー)「ダイエー赤羽店」をリニューアル。ダイエーという屋号を残しながら、「イオンフードスタイル」という新たな看板を併設して6月下旬にオープンした。今年度中に5店程度の出店を計画している。

2013年にイオンの連結子会社となった後、今年1月からは同完全子会社となったダイエー。前2015年2月期には大幅赤字を計上したものの、今年3~5月期は既存店売り上げがプラスに転換した。とはいえ、苦しい状況に変わりはない。経営不振はかれこれ20年近くも続いている。かつて流通業界の王者として君臨したダイエーはなぜ、ここまで苦しみ続けているのか。ダイエーの今を読み解くには、ここに至った経緯を整理しておかなければならない。

スーパーマーケット=ストリップ劇場

以前より探していた資料を見つけた。雑誌『販売革新』(1966年11月号)にダイエーの創始者である中内功さんが書いた記事だ。タイトルは、なんと「スーパーマーケット ストリップ劇場論」。その中身に私は驚愕した。そこに描かれていたのは、小売店主の主張ではなく、文化創造者としてのそれだった。

1930年にアメリカで誕生したスーパーマーケットは、その名のとおり、単なる市場(マーケット)を超越する存在(スーパー)だ。しかし執筆当時、スーパーマーケットは、「挑戦の精神を喪失し、単なる販売業者に成り下がっている」と中内さんは感じていた。

中内さんは、演劇になぞらえて各小売業を定義する。百貨店は虚構の美を売る。それに対して、スーパーマーケットは虚構がなく、衝動性があり、大衆的で、高利益=衣類を着ない「若い女体の躍動するところにその美が生まれる。現代人の心理にピッタリと合っているはず」(同雑誌)。

中内さんは、スーパーマーケットをストリップ劇場になぞらえた。百貨店では虚構にまみれた商品を見て楽しめばいい。いっぽう、ストリップ劇場たるスーパーマーケットは、「裸」の値段で商品を提供するのだ、と。

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