同志社大学・太田肇教授の新モチベーション論(第6回)--承認が「安定した出勤意欲」につながる

同志社大学・太田肇教授の新モチベーション論(第6回)--承認が「安定した出勤意欲」につながる

表彰には特に顕著な業績を上げた人をたたえるタイプのものもあれば、地道にコツコツと努力し、着実に成果を上げている人やチームをたたえるタイプのものもある。傑出した人材、突出した成果を特に重視する職場では前者が有効だが、堅実な仕事とチームワークが重視される職場では後者のほうが効果的である。

質の高い医療とミスのない仕事が求められる病院の職場は、後者の代表例といえよう。また病院は仕事内容や勤務体制、対人関係などの面からくるストレスが多く、どちらかというと認められたり褒められたりするポジティブなフィードバックが少ない職場だといわれる。

それだけに職場の中で認められ、たたえられる機会を積極的に増やしていくことが望ましい。私が最近行った研究でも、病院の看護師の場合、上司からの承認が「安定した出勤意欲」につながることが判明した(拙著『承認とモチベーション』同文舘出版、2011年)。つまり認められることで欠勤や離職が抑制される可能性があるわけだ。また、上司に認められたときや仲間から励まされたときに”やる気”が出たという声も多かった。

そこで注目したのは、東京大学医学部附属病院で取り入れられている「ベストスタッフ賞」という表彰制度である。

この賞は、成果が表面化しにくい仕事において、病院運営上の顕著な功績を上げた職員を表彰し、それによって病院職員のモチベーション向上を図り、東大病院が目指す「安心、安全、思いやりの医療」を実現することを目指すものである。前病院長の武谷雄二教授(産婦人科)の発案で2007年(平成19年)度に導入された。

対象は東大病院職員(個人)で、2010年度からは年間30人を表彰している。選考に当たってはまず、職員を事務部、看護師、医師、医療職員(検査部、放射線部、薬剤部、栄養管理室、医療機器管理部、リハビリテーション部ほか)の4グループに分け、各グループ内に推薦委員会を設ける。

各グループから褒賞にふさわしい職員を、それぞれの職員数に応じて定めた対象人数
を上限に推薦してもらう。推薦対象はなるべく若手を優先することになっており、事務部にあっては課長以上、看護師にあっては副看護部長以上、医師にあっては科長(部長)以上、医療職員にあっては部長、技師長、室長の職にある者は対象から除かれる。

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