心が強い人は「目標を作り続ける癖」がある! 希望を"自ら"生み出せるどうかが分岐点

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しかし、そのマネジメントレビューの1週間前になると、チームの仕事が一気に進むことに気づきました。プレゼンの締め切りというミニ目標が目の前にあると、皆のモチベーションがアップするのです。それからはそうしたレビューを厄介な会議ではなく、チームが大目標に向けて前進するためのひとつのステップと捉えるようになりました。

見通しがつくと希望が高まり、前向きに前進できる

自分の上司からは、何かを提案するたびに「クゼさんのやりたいことはわかった。それで、この提案が通ったら、次に何をするの?」といった問いかけをいつも受けました。

そして、新商品のコンセプトテストや新広告の事前調査などをするたびに、サマリーとしてのワンページメモを書くことが担当者レベルの社員の大切な仕事でしたが、その書類の最後にネクストステップが明確に書かれていないと、すぐに書き直しとなったものです。このようにして、普段の仕事を通して目標設定力が鍛えられたものでした。

ネクストステップには、自分が主体性をもって「いつまでに」「どこで」「何をするのか」を具体的に表現し、そのことに対してコミットする「誓約」の役割もあります。

私は多くの人たちと仕事を通して関わり合い、世の中に数々の商品やサービス、広告や記事、書籍や講座を出してきました。その経験で痛感したのが、日本には「分析」や「批評」が得意な人は多いのですが、ネクストステップを思考してアクションに移せる「行動」ができる人が限られているということです。

会議で何かを合意したとします。しかし、明日から何をすべきかに関しては、人に指示をされないと、自分から動くことができない人が多いのです。自分自身で「いつまでに」「どこで」「何をするのか」と目標を細分化して、ネクストステップを即座に考え、すぐに前進することができる人が少ないように思えました。

一方で、ネクストステップを考え、表現し、責任をもって行動することができる人材は、どの企業でも重宝される「仕事のできる人」です。次にやるべきことが明確になると、見通しがついて、希望が高まり、強気で仕事を推し進めていけるのです。

ネクストステップを考える癖をつければ、リーダーシップも磨かれます。リーダーとは、人の指示に従うだけでなく、自ら仕事を作り出し、実現のための行動ができる人だからです。皆さんもこのスキルをぜひマスターしてください。

久世 浩司 ポジティブサイコロジースクール代表

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くぜ こうじ

株式会社レジリエンス・コンサルティング代表取締役

1972年岐阜県大垣市生まれ。慶應大学卒業後、P&Gに入社。化粧品事業のマーケティング責任者としてブランド経営と商品・広告開発に携わる。その後、最新の心理学を人材育成に活用する講師とコーチを育成する社会人向けスクールを設立。専門はレジリエンス。NHK「クローズアップ現代」ではレジリエンス研修が取り上げられた。著書に『世界のエリートがIQ・学歴よりも重視! 「レジリエンス」の鍛え方』(実業之日本社)、『リーダーのための「レジリエンス」入門』(PHP研究所)、『なぜ、一流の人はハードワークでも心が疲れないのか?』『なぜ、一流の人は不安でも強気でいられるのか?』(ともにSBクリエイティブ)など。
 

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