心が強い人は「目標を作り続ける癖」がある! 希望を"自ら"生み出せるどうかが分岐点

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不確定で変化が激しく、先行きが不透明な状況で仕事をすると、どう進めばいいかわからなくなり不安になってしまいます。そんなときには、進むべき道が明確に理解できる地図が欲しくなりますが、そんな便利なものはないことが大半です。

私がP&Gで叩きこまれたこと

私はもともと目標設定スキルを持っていませんでした。ところが、大学を卒業して入社したP&Gで、新人として配属されたその日から目標設定力を徹底的に鍛えられたのです。

具体的には、自分の上司からの頻繁な「問いかけ」を受けたのでした。

「クゼさん、そのプロジェクトのオブジェクティブ(目標)は何ですか?」「この会議の目標をはっきりさせてから話し合いましょう」「この文書を通して、クゼさんは何を伝えたいの?」

このような質問をいつも受けていました。これは新卒の私にとってはかなり酷でした。親や先生の指示に従い、世間で良いと言われていることに倣うことで何とかうまく生きてきた私にとっては、目標を考える癖がなかったからです。

ところが、P&Gでは、すべての仕事の目標を明確にすることが全社員に求められたのでした。物事の本質を深く考える思考力がないと、一人前として認められなかったのです。

目標設定力を高めるには、どんな仕事でも「一体、この仕事の目標は何だろうか?」と徹底して考えることです。ただ、多くの人は目標を明確にしないままに仕事を始めがちですので、人に「この会議の目標は何?」と質問しすぎると「理屈っぽい」と嫌われてしまうかもしれません。あくまで、自分の中で問いかけをすることで、力を蓄えましょう。

目標を設定したら、次はそれを「細分化」することです。3つのメリットがあります。

ひとつ目に、大きな目標までの道のりを、より個別具体的に「見える化」することで、心理的に安心できるプラス面があります。「自分でもできる!」と感じられるようになるのです。

2つ目に、小さな目標が見えてくると、まずは自分たちでできることから取り組むようになります。「無理なこと」ではなく「できること」の側面を見るようになるのです。今すぐこの仕事を前に進めるにはどうすればいいかと考えるので、仕事のスピードも増します。

3つ目に、目標を小さく分けることは、長いプロジェクトの場合では中間目標を定めることになります。ひとつの巨大な締め切りを設定してそこに向かってやみくもに突進するよりも、途中で小さな締め切りやレビューをする時間を設けたほうが、意欲や集中力が持続するものです。なぜなら、私たちのやる気は、締め切りの直前にぐっと高まるからです。

私がP&Gで働いていたとき、重要なプロジェクトの責任者を任されたことがありました。アメリカの本社から経営陣が定期的に訪れて、そのたびに進捗状況をプレゼンしなくてはならず、つねに緊張を感じていたものです。

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