朝ドラ「ブギウギ」最終回の前に早すぎる全体総括 「音楽朝ドラ」真骨頂に向けた趣里と伊原六花の功績

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また関東出身にもかかわらず、大阪弁も日に日に上手くなっていった。途中からは、独特の大阪弁特有の「フラ」(落語用語でいう「独特の愛嬌、おかしみ」的な意味)も身に付いてきた。

ただ、あまりにハマり役すぎた感もあり、実際、WOWOWで並行して放送された『東京貧困女子。-貧困なんて他人事だと思ってた』(2023年)を見ていたら、まるで福来スズ子が編集者役をやっているような錯覚をしてしまった……。

でも今後、抜群の芸能運動神経で福来スズ子の幻影を乗り越え、様々な役回りで新しい姿を見せてくれることだろう。

『ブキウギ』をアワード形式で振り返る

以下、『ブギウギ』のあれこれを、アワード形式を通じて、さらに細かく振り返っていく。ただ、あくまで個人的な意見なので、みなさんも自分ならではの評価をして、楽しく振り返っていただきたい。

まずは「助演賞」の発表(スペースの都合で「助演女優賞」に絞る)。ヒロインのライバル的ポジションの準主役として、長く出続けた菊地凛子(1月5日の特攻隊を送り出すシーンが白眉)は別格に措くとして、ネイティブ大阪人として、ヒロインの快活の母親役を見事に演じた水川あさみ、前半戦を彩った翼和希、蒼井優、後半、雰囲気をピリリと締めた木野花を抑えて、助演賞は伊原六花に差し上げたい。

そもそもは『ブキウギ』のヒロイン役のオーディションを受けていたという。大阪出身で、かつ抜群のダンス力も知っていたので、決定以前に私は、彼女をヒロイン役に予想したのだ。

そういう意味では「助演」にまわることは痛恨だったのかもしれないが、水川あさみと同じくネイティブ大阪人としてセリフの安定感を保ちながら、ドラマ全体に清涼な風を吹かせる秋山美月を見事に演じきった。

そんな伊原六花のベスト回はもちろん、東京の舞台で趣里が歌う『センチメンタル・ダイナ』に合わせて、列車の中でタップダンスを踊った回(11月17日)。この回は、タップの前の「せっせっせ」も含めて、『ブギウギ』トータルとしても、個人的には『大空の弟』に次ぐベスト回だった。もしかしたら、『ブギウギ』効果で今後、趣里以上にブレイクする可能性も高そうだ。

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