「小田急の顔」ロマンスカー乗務員に必要な条件 運転士・車掌の経験3年、さらに訓練、試験、研修

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研修では「お叱りのお客さま」を想定し「ロマンスカークルーとして快適な移動時間を提供するため、どのような対応をしますか?」という課題も。例えば以下のような事例だ。

「車内巡回中、グループのお客さまが大きな声で騒いでいるのを『注意してほしい』と同じ号車に座っているお客さまから申告されました。グループのお客さまに声をかけたところ、その場は静かになったが、また大きな声で騒いでいるところを目撃しました。先ほど注意してほしいと申告されたお客さまは、見るからに不機嫌な表情をしていたため、別の号車に席を移動できますと提案したところ、『なんで自分が移動しなければならないのか?』とお叱りをいただきました」

「最初にぶつかる壁」

特急列車の車内は、仲間同士でにぎやかに楽しみたいグループ客がいれば、静かに過ごしたいビジネス客もいる。新井さんは「1つの車内で異なるニーズが存在する、というのは車掌が最初にぶつかる壁」と指摘する。菅井さんは「正解が1つに決まっているわけでない。研修では、どんなことができるか、みんなで考えることで視点を広げてほしい」と話す。

ロマンスカー クルー研修 ロールプレイング
ロールプレイングでは乗客役が本番さながらにさまざまな質問・要望を投げかける(記者撮影)

2024年4月には、運転士25人、車掌38人の新人ロマンスカークルーが誕生する。今後は日々の乗務を通じて接客スキルを磨き、それぞれが「小田急の顔の顔」を担っていくことになる。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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