ブラタモリ終了、たけし卒業にプラスしかない理由 昭和の大物司会者たちはいかに最後を飾るか

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その世代交代に拍車をかけたのが、2020年代に入ってからの視聴率調査リニューアルとコロナ禍。2020年春にビデオリサーチの視聴率調査がリニューアルされ、民放各局はこれ以降コア層(主に13~49歳)の個人視聴率を獲るための番組制作を進めています。「ベテランMCで2回り以上年下のコア層を獲るのは難しい」ことから出演者の若返りが求められるようになり、この数年間は実績に敬意を表しながらも、ゆるやかな世代交代がはじまっていました。

また、コロナ禍に突入してコンテンツの配信視聴が急速に進んだことも、ベテラン司会者にとっては逆風でした。現在では「テレビ画面でTVerを見る」という中高年層も増えるなど、「いつもの時間にいつものチャンネルをつける」という人が減り続けていることも世代交代が求められる理由の1つです。

さらに長年最前線で活躍してきた大物だからこそ、制作費削減という理由も避けられない現実。現在、民放各局は「低下する放送収入をどのように配信収入などに移行していくのか」というステップを踏みはじめたところであり、台所事情が厳しいタームであることは間違いありません。実際、「アンビリーバボー」が、たけしさんの後任を置かないのは、単に代わりが利かないからだけではなく制作費の問題もあるのでしょう。

ともあれ、一歩引いてビジネス的な目線で見れば、「この世代交代はベストタイミングか?」と言われたら疑問が残るのも事実。「80歳まで最前線に立たせるなんて遅すぎる」と感じられても仕方がないところがあります。

テレビの企画・制作力を示す絶好機

特に視聴率の低下が叫ばれた2010年代はその流れを止めるべく、リアルタイム視聴の多い中高年層に向けた番組を量産。そのため世代交代はせず、昭和時代から出演を続けるベテランに頼るという状況を続けていました。目先の世帯視聴率を獲るために、録画視聴やネットコンテンツを好む傾向の強い視聴者層を軽視していたのです。

しかし、そんな目先の数字を追う編成戦略が長く通用するはずがありません。スポンサーが「どういう人がどれだけ観ているのか」「自社商品の広告効果はどれだけあるのか」を追求するようになり、その結果“コア層に向けた番組制作”という現時点での答えが浮かび上がってきたのです。

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