新卒入社も「10カ月」で退社、28歳彼女が戻った訳 元バレエダンサーの人事、転職で気付いたこと

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「エシカルビジネスに興味がありましたし、何よりも起業するためのワンステップとしていい環境だと思ったんです。自分が起業するための修行というか、準備期間という位置付けで、社内起業も視野に入れての転職でした。

ただ、社長と方針が合わなくて……。toCビジネスを展開している企業だったのですが、消費者に対する方針をすり合わせることができませんでした。消費者目線とビジネスのバランスをどのようにとっていくのか、難易度の高さを実感しました」

また、素晴らしいビジョンを掲げている企業は多くあるが、その一方で、「どの企業も似ていることを謳っている」と感じた。ある意味、表層的なメッセージにも見えたのだった。

そして、3回目となる転職活動をスタートすることになった阿南さん。選択肢として浮かんだのがキュービックだった。

真摯に社会と向き合いたい

「この数年間、『企業って、なんのために存在しているんだろう?』ということを考えました。

PR代理店は企業の予算消化が優先になりがちな側面もある。toCビジネスは消費者が二の次になる場合もある。社会のため、消費者のためを本質的に追求できる企業って実は少ないのかもしれない。

でも、その点、キュービックは嘘がない。『社会をよりよくすること』に対して真摯に向き合っている企業だ。そう確信したんです。転職期間のなかで気づいた、『真摯に社会と向き合いたい』という、自分自身のポリシーにも合致するものでした」

阿南さんによると、キュービックはいわゆる「マーケットイン」的な性質を持つ会社だという。

「キュービックはWebマーケティング会社というより、課題解決の会社。誰かがやっていることを応援する、進み出した誰かの船……サービスや事業をともに前進させていく会社なんです。それを発揮したのが、たまたまWebマーケティングでした。

キュービックは、『本当にそれはやるべきなのか、それはクライアントのためになるか、ユーザーのためになるか』を考え抜く。常に三方よしの考え方が染み付いていました。転職を重ねて他の企業を見ることによって、その考え方が稀有なことに気づいたんです」

キュービック退職後も定期的に社員とはコミュニケーションをとっており、良好な関係性を維持していたが、一方でクリアしなければいけない問題もあった。

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