有料会員限定

91年ソ連クーデターの真相は解明されていない 佐藤優の情報術、91年8月ソ連クーデター事件簿㊿

✎ 1〜 ✎ 441 ✎ 442 ✎ 443 ✎ 最新
拡大
縮小

ラトビア系ロシア人で保守派の軍人だったビクトル・アルクスニス氏の、クーデター未遂事件に関する考察も事柄の本質を突いている。

2.(当方より、率直に言つて、国家非常委員会のクーデターは、従来よりの貴代議員の主張を体現したものではないかと水を向けたところ、)その通りである。大きな過ちは憲法手続きをふまえなかつたことである。クーデターにより長期政権を維持することは出来ない。しかし、国家非常委員会メンバーが真しに国家と国民の将来をうれい、決起したことは正当に評価せねばならない。

「ゴ」が従来通りの路線を継続したならば、いずれにせよ大衆ほう起か軍のクーデターが発生した。ヤナエフ等の行動を特権に安住して党官僚の自こ保存と見ることは誤りである。特権に安住しようとするならば「ゴ」のちゆう実な部下としての役割を演じれば良いわけであり、危険を犯し決起する必要はない。

国家非常委員会のメンバーは、主観的には改革派であると思つており、改革を成功させるためには、国家に規律とちつ序を回復することが必要であると確信し、決起したのである。いわば現代の「12月党員」(19世きの貴族による革命運動)で、数年後には国家を救おうとした英ゆうであるとの評価がなされるであろう。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内